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僕とおまわりくん。①

 筆の赴くにまかせて、いつものようにいい加減に書き連ねてきたら、だんだんと焦点が定まってきたので、今回は題名からして、おもいきって変えてみました。
 前回、『いち市民としてなんとなくいわれもなくおまわりくんと相性が悪い』例として僕のことを紹介させていただきましたが、今回はその続きです。
 
 実は僕とおまわりくんの相性の悪さはただ茫洋と『おまわりくん全般と相性がよろしくない』だけではなくて特徴があるんです。といってもわざわざ書き立てるような特徴ではないですが(まあ、しかし『じゃあ他の事はわざわざ書き立てるようなことなのか?』という端的かつ正鵠を射た質問の前にはこのブログ全体が100%撃沈しちゃいますけど。)、それはどういうことかというと『おまわりくんの中でも特に大立目警察のおまわりくんとの相性は最悪だ。』っていうことです。

 あれは、ずいぶん昔、僕がまだ独身で社会人になってまだそう日が深からぬ、某日、某夜の出来事でした。
 当時、実家から会社に通っていた僕は残業帰りの、かなり遅い時間にJR東大立目駅で降りると、止めておいた、-もちろん、大立目市が指定した駐輪場に、です。-自分の自転車に乗ると、これまたいつものように線路沿いの道を実家の方向に、自転車を走らせました。まっすぐ線路沿いに行き、ローカルな私鉄の踏み切りの手前を左折すると僕の実家です。と、僕が左折をしようとする角にふたりの制服おまわりくんがおりました。どうやら無灯火の自転車だの、鍵が壊れていそうな自転車だの、を止めて、詰問しているようです。
 よくある、止めておいて自転車登録番号を『ぷしっ。う~~、じてんしゃ、う~、の、う~、めいぎかくにん、う~、おねがいします、どうぞ、ぷしっ。』『ぷしっ。う~、りょうかい、う~、ばんごうをどうぞ、ぷしっ。』と無線で確認して(『ぷしっ。』という擬音は無線のスイッチが入ったり切れたりする音です。あと『う~、』っていうのは、電話なんかだと言わないのに、無線だとやたらと言葉をぶつ切りにして、その間におまわりくんがよく挟む意味不明な唸り声、です。)自転車の名義人をおまわりくんが確認する間、『だ・か・ら、俺のだよ!』と多少むっとしながら待たされるっていう、あれですね。
 ま、もっとも、これは推測ですが、おまわりくんとしては、待たされている自転車操縦者とは違い、結果として乗っている人が登録内容と同一人物だったりしたら、なんだつまんない、さっさと帰れ、てなもんで、一方、もし盗難届けが出てようものなら、胸がとっくんとっくんと、ときめくんでしょうけど(推測です。)。
 ところで、話がちょっと脇にそれるけど、大立目近辺は、都会とは様相が異なり、あちこちにある農家の玄関先には野菜の無人販売なんかがある(今でもあります。)どっちかというと犯罪とは縁遠い土地柄です。ところがそれに比してどうも大立目警察は人数が多すぎて、無聊をかこっているらしく(もちろん僕の推定ですが、そうとしか思えません。選挙においての『一票の格差』が違憲だ、なんて問題になってますけど、血税対効果という面では『危険度に応じた住民一人当たりのおまわりくん配置の格差』も検討してくんないかな、って思うくらい、大立目警察は盗難自転車探しにいささか熱心すぎるように思います。それだけマンパワーが余っているんならもっと犯罪が多いところに人数を回してくれたほうが日本のためになると思うんだけどな。)、まことに頻繁にこの『夜道での自転車チェック』をやっています。

 『お、今日もやっておるな公僕諸君、まあ、貴君らが盗難自転車探しごときで忙しい、というのは逆にいえば平和な証拠だから、もし止められても登録番号確認くらいの時間はつきあってやるか。』心中斯様なことをつぶやきつつ、僕はどんどんと、その角に立つ、おまわりくん二人組に近づいていきます。帰宅する方向にいるわけですから、それはそうなるわけです。すると、近くまで来てみると、僕の前にすでに先客がいて、公僕に足止めを食らってどうやら『ぷしっ。う~、』の真っ最中です。その真横を僕は通過し、その制服おまわりくん二人組を中心に大きく90度旋回をして予定通り左折しました。特にものすごいスピードで左折した、とかそういうことはありません。なにしろ、くどいようですが僕は『やましいところは別にない、いち市民』なので。
 幸か、不幸か(本当に、スケールは小さいけど『幸か不幸か』っていう言葉はこの時の僕にぴったりのレトリックだな、って後で思いました。)、僕は、おまわりくんに何も声をかけられずにそのまますんなり左折し、およそ、100メートルほど先の実家に向かいました。
 『なんだ、俺には声かけなかったな。まさか自転車が眼前を通過していることに気付かないわけはなし、それに、その気になれば先客と俺、の二台を同時に止めることなんかわけないのにな。そういえば、一応、おまわりくんは無灯火とか、二人乗り、とか理由がないと止めちゃいけない、って聞いたことがあるな、そうか、俺は電灯もつけてたし、止まりなさい、っていう理由がなかったわけだ・・。』と瞬間少しだけ疑問を感じ、しかし、そのことはすぐに僕の思考からは消え去り『ああ、腹減ったなあ。』と思いつつ、そのわずか100M程度の道の半ばまでさしかかったときです。
 僕は、ある光景を見て反射的に急ブレーキを握りました。
 『人が倒れている!』
 実家のお隣さんは、-『隣』というのにはあまりにも面積が違いすぎますが-、広大な土地をもっている植木屋さんで、その庭いっぱいに造園に使う、木だの植え込みだのが栽培されています。それはそれは広大な土地をお持ちで、実は、線路沿いの道をおまわり君に近づいている頃から、左折して僕の実家に至るまで、その植木屋さんの庭伝い
にある道を走っていることになるんです。いまでこそ、そのお庭は簡素な金網のフェンスで囲まれていますが、当時は何もなく、舗装された道とその広大なむき出しのお庭が地続きになっていました。僕は左折して尚、数十メートルをその植木屋さんのお庭沿いに実家の方向に向かっていったんですが、その途中、なんとその庭から舗装道路に投げ出されるように横たわっている人間を発見してしまったんです。酔っ払いかな、お、そうだ、ちょうど角におまわりくんがいるから、彼らにあとのことは頼もう、なにしろ公僕、英語でいうところのもシヴィル・サーヴァント、だから、こういうときこそ役に立ってもらわねば・・などと考えながら、しかし僕はややおそるおそるそのちょうど外灯の光が届かずに薄暗くなっている地面に横たわった人影に、少し今来た道を戻りながら近づきました・・・。
 『戻りながら・・・』、そうです、僕は、視界に思いもしないものが飛び込んできたので、反射的にブレーキをかけたものの、自転車が最終的に止まったのは人影を数メートルやりすごした地点だったんです。だから、僕は確認のために、今来た道を小さくUターンし、自転車にのったまんまでゆっくりとその横たわる人影に近づきました。
 しかし、ああ、なんと人騒がせな、それは、近くで目を凝らしてみると『夜目には人間そっくりの形をした正体不明なもの、あえていうと粗大ゴミ』だったんです。植木屋さんが自分の庭に捨てたとは想像しにくいので、おそらくその植木屋さんの庭が塀も柵もなしにむき出しで公道に地続きになっているのをいいことに、どっかのけしからん輩が始末にこまった『たまたま人間のような形状になってしまった粗大ゴミ』を不法投棄でもしたんでしょう。
 なあんだ、迷惑な、ああ、驚いた、と、僕は再び自転車の方向を転換すると実家のほうへゆっくりと、-だってあと数十メートルですから急ぐ必要はないわけです-、自転車を漕ぎながら向かいました。・・・・ここまでで、僕になんか非があるでしょうか?ないと思うんです、僕は。
 
 ところが、です。うん?空耳かな・・・?なんか後ろから男性の怒鳴り声が聞こえてくるような・・・、僕はゆっくりと自転車を漕ぎながらうしろを振り返って、仰天しました。
 なんと、外灯に照らされた若い制服おまわりくんが、怒声を上げながら自転車にのって猛スピードでこちらにむかって来るじゃありませんか。
 今、僕は『猛スピード』ってさらりと書きましたけど、別の言い方をするなら、こう叙述すればわかっていただけるかと思います。即ち、その若いおまわりくんは自分の出した速さのあまり吹き飛びそうになった帽子を片手で抑えながら向かってきたんです。
 「待ちなさい!」
 え・・、僕は依然さっきまでと同じくゆっくりと自転車を漕ぎ、着実に実家に近づきながら、驚いて周囲を見渡しました。・・・だれもいないよ。
 「待ちなさい!待て!おいっ!」
 ・・・へ、俺???なんで?俺が止まらなければいけない謂われは無いよな、と思いつつ僕は惰性で自転車を漕ぎ続けます。

 程なく、追いついたおまわりくんの言うことは(それはたった数十メートルを、『逃げる気なんか全然ない』僕を『帽子が吹き飛ぶほどのスピード』で追いかけてきたわけですから、すぐに追いちゃうわけなんです。)僕に言わせると完全に常軌を逸していました。曰く、
 「なぜ今、我々を見て逃げた?」
 ・・・は?
 「身分証っ!?」
 ・・・いや、あのね。
 「いえ、逃げてませんけど。」
 「何を言う、さっきこちから来たのに、いきなりUターンしたじゃないかっ!なぜだっ!」
 と、その若いおまわりくんは、息を切らしながら、しかし、大層興奮して、-それこそ、偶然泥棒にでもあったかのように-、厳しい口調で、期せずして(僕に言わせれば、ですが。)、つい先程までの僕とそのおまわりくんに共通していた進行方向、-すなわち、おまわりくんたちがいた角とは逆の方向ですね-、を大きく指差しながら詰問します。
 「・・こっちからきて、いきなりUターン??・・・してませんけど。僕駅から帰ってきたんですけど。」
 「何?駅からだと?」
 「・・はあ。だから、さっきおまわりさん達の横を通ったでしょ?」
 「・・・だいたい、あなた、住所は?」
 「・・は?」
 「どこに住んでいるか、と聞いてるんだ!」
 え・・いや、どこって・・・。
 「・・は?・・いやここですけど・・」
 若いおまわりくんが必死で僕に追いついたはちょうど、僕の実家の目の前だったんです。僕は、僕たちふたりの目の前の家を、われながら阿呆のようにゆっくりと指差しました。
 「なにい!ここだあ?」
 その口調にはあきらかに『貴様、うろんなことをいうと為にならんぞ!いい加減なことをいうな、追いつかれたところの目の前の家を指差して自分の家だ、などと・・・、ますます怪しい!』という『濃くなる一方の疑念』に溢れていました。
 どうもおかしいなあ、と僕はそれから何度か会話を試み、ようやく、事態が飲み込めました。
 まず、なんとしたことか、おまわりくん二人は先客への対応で忙しく、僕が彼らの前を堂々と(それはやましいことなんかないから、ゆうゆうとしちゃうわけです。)通過したことを認識していなかったんです。それで、先客を放免して、いや、公的サービスを終えて、ふと、振り返ったそのときが、ちょうど僕が、人影らしきものに急ブレーキをかけてUターンした直後、だったようなんです。つまり、このおまわりくん二人には、僕が、僕の実家の方向から出し抜けにやってきた新たな自転車一台、と見えたんです。お、きたな、ここまできたら止めてやろう、くらいに思って構えていたら、僕が、なにやら急にとまって、突如踵を返し、元来た方に『逃げた』ように見えたらしいんです。 それで、警察官を見て引き返すとは明らに挙動不審千万、それ、追え!逃がすな!ということになって、帽子を抑えながらの、
 「待ちなさい!待て!おいっ!」
 となって、そのうえ、住所を聞いたら『ちょうど捕まえた場所にある家』(僕に言わせると『家に到着したから自転車を降りただけ。』という、日常以上でも、以下でもない、んですけど。)を指さした、うむむむ、ますます怪しい・・・・・。あほらしい。

 僕はなんだかなあ、と思いながらも全部説明してあげました。身分証を見せて、ね、ここ本当に僕のおうちでしょ?それに僕は駅から来て、さっき貴殿たちが公務を遂行しておる横を通りましたよ、ひとり止めてたでしょ?え?そっちが僕を見てないなんて俺のせいじゃないでしょ?それで、人が倒れてる、ちょうどおまわりさんがいるし、と思って引き返して近づいてよくみたらゴミだったから、ほらあそこに大きい物体がここからも見えるでしょ?それで、なあんだってことで『帰宅しただけ』ですけど、って身振り手振りも交えて説明すると、僕の言い分の寸分の隙もない堅牢性(あたり前ですよね、これ、おまわりくん側が、僕が彼らの目の前を通過したことを認知していなかったことから始まって、捕まえた場所が不審者の家の目の前なんてことがあるわけがない、という嫌疑に至るまで、ひとり相撲をとっているだけ、なんですから。)にだんだん事態を正しく認識しだして、最後には言葉使いまで丁寧になって(つまりは自分の誤解に気付いて、待て!だの、おい!だのと言ったことを少しは反省してくれたわけです。)全部納得してくれました。

 ふん、なんだ、ばかばかしい、どっちかつうとこっちは善意で行動したのになんでこんなことになっちまうんだよ、まあ、いいや、と気持ちを入れ替えて、家に入ろうとしたそのとき、です。
 あとからこれまた自転車で、のっそりと、僕らにおいついた中年のおまわりくんが、完璧に不審者に対する視線と、立場が上だという意思表示にあふれた皮肉な笑みを浮かべて、いきなり、僕にこう言いました。
 「なあんだあ、ああん?おまえ、あそこにゴミ捨てたのか?ええ?」
 ・・・・・彼は彼で、僕が若いおまわりくんに説明しているのを遠くから見て、彼なりの推測を、-しかし、僕に言わせるとこれを邪推と言わずしてなんというってなもんですけど-、していて、すでに僕と若いおまわりくんの立場が逆転して言葉使いまで善良な市民と公僕、に戻っているのも知らずに、てめえ、この野郎、ゴミ捨てて怒られるのが嫌で逃げやがったな、というテンションで『振り出しに戻る』って感じで、しかし、ひとり場違いな理解で登場したわけです・・・。

 うそみたいな話ですけど、本当です。
 そのニタニタ中年おまわりくんには、さすがに若いおまわりくんがすぐに説明してくれましたけど。
 相性悪いですよね。

===終わり===
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> はい、また悪いです。
・・・・やっぱり悪いですよね?

はい、また悪いです。
プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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