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森永ホモ牛乳。

「そっこのメンバーがゲイだらけでさあ。」
 おいおい、昼間っから大きな声でそんなことを言ってよいのか、若者よ。

 別にきめつけるわけではないですけど、『驚き』という感情とはときには、『ある人には必然だけれど、自分には偶然であること』と定義できる、と思います。

 たとえば僕が自分のボーナスの低さに驚くのは(たいてい毎年驚いてます。)、単純に上司の僕に対する評価が低いから、です。この場合、上司にとっては『みどりの評価が低くて、したがってボーナスが低い』のは『必然』なので、いささかも彼の感情は刺激を受けないわけですが、僕は『ありえん!』とその額面に必然性を認め難いので、おおいに驚愕するわけです。ついさっきも今年の冬のボーナスの明細をみて懲りずにのけぞったところです。我ながらタイムリーですなあ。

 先日、― 晴れて気持ちのいい平日の昼間でした ―、僕がわりと空いた電車のドア近辺に立って窓外の景色をぼうっと眺めていたときのことです。とある駅で、僕がもたれているドアとは反対側のドアが空き、4,5人の集団が乗ってきました。集団は、ドアとドアの間に居場所を得て、丸くなって話しを始めました。僕は彼らに背中をむけている格好になります。特に興味を惹かれたわけではないですが、彼らが、学生とまではいかないまでも、僕よりは、うんと若くて男女混合の集団であることが聞くとはなしに聞こえてくる声の勢いのよさや、言葉使いから伺い知れました。
 僕は、依然として窓外を駆け抜ける景色をぼうっと見ています。
 と、その時、若者たちのひとりの男性が、言い放った言葉に、僕としたことが、つい、聞き耳をたててしまいました。
 「僕さあ、どこそこのジムに通ってたんだけどさあ、
  そっこのメンバーがゲイだらけでさあ。」
 おいおい、昼間っから大きな声でそんなことを言ってよいのか!若者よ。いまどき、そういう偏見に満ちた口調で他人の性的嗜好を電車の中、という公の場で言ってどーする。この車両の中にもそういう嗜好の人がいるかもしれないじゃないか、最近の若者よ!と、さっきまで空っぽだった僕の頭はこの偶然の遭遇に刺激を受けました。
 昭和の時代ならともかく、ジェンダーフリーが叫ばれてすでにひさしい21世紀にあって、あんまり、そういう人は見かけないですよね。これはある意味希有な光景に出合ったぞ。
 すると、若者は、まるで僕の心の声が聞こえたかのように続けました。
 「別にゲイはいいんだけど。ナンパされちゃうんだよね。
  ゲイがどうのじゃなくて、しょっちゅう食事行こうとか
  言われてさ」
 ほう、一応他人の価値観は認めているわけだ。うん、それでよい。
 「だから、そのジムやめたよ。」
 えー、本当かよ。それが理由でジムをやめるまでってことは相当ゲイにもてたんだな。それにそんなことを大きな声でいう輩って,どれどれいったいどんな見かけの・・、と僕はよせばいいのに好奇心のおもむくままに、さりげなく発言者の現認を図りました。
 
 ええ!

 そこには、間違いなく如何にも『ゲイにナンパされて本当に嫌な思いをしたぜ』という渋面をした若い男性が立っていましたけれど、その髪は金髪、そして眼は碧眼、の、まがうことなき『白人』じゃないですか・・・。そういう絵を頭の中に全く用意していなかった僕は、面喰ってしまいました。
 あんた、日本語、しかも若者言葉が、うますぎるでしょ!全然予想外ですぞ!
 
 虚をつかれてしばし呆然とする僕のことなど構わず、彼は平然と、彼にとっては日本人と話すために駆使することが必然であろう、しかし僕には結果として大いに意外だった、その流暢な日本語で会話を続けます。
 少し、落ち着いて観察してみたところ、そのグループは彼以外にも外人がいて、白人と日本人の集団だったんです。
 電車のドアとドアの中で、内側に各々が顔を向けて、円をなすように立ち話をしてる彼らの中で、ふりかえった僕(いつのまにか僕は振り返って彼らに正対していました。)から見ると、そのジムをやめた白人さんは時計でいうと10時の方向にいます。彼は、僕からみて3時の位置にいる日本人女性にジムをやめた経緯を一所懸命話していたようです。
 話しかけられている3時に位置する女性は、僕に横顔をむけている格好になりますが、よくよくみると、横顔だけでもそれとわかる、小顔の、『一般的に判断』して、たいそうな美人、です。

 おお、美人だ。こんな美人にあんな『ゲイ』連発の話題を大声で振ることはないだろう・・。余計なお世話か・・。ま、それくらい仲が良いということだよな・・。それにしても美人だな。俺の好み、かと聞かれると違うけど・・・、そもそも、聞かれてねえな・・・。(ええ、参考までに、ここでは深くは掘り下げませんが、僕の女性の好みは非常にシンプルです。ごく短い言葉で言い終えちゃいます。特にアブノーマルでもない、と思っています。ただし、かつて、こもりめいこちゃん― 僕の数少ない、ほんと~~~に少ない、かつての女友達のひとりです。― に、みどりさんってどういう人が好きなんですか、って聞かれたので、素直に僕のそのシンプルなタイプを『ええと、xxでxxな人。』って答えたら、『うわ、さいってい!さいっあく!いいですか?それは私だからいいけど、他の女性にの前ではぜったいに言っちゃいけませんよ。みどりさんのためです!わかりましたかっ!』って言われて唖然としたことがあります。その時は若かったから正直にいって何がそんなに悪いんだろう、って思ったうえに『え、なんで?めいこちゃんがそうじゃないから?』なんて駄目を押して、さらに『もう、軽蔑しますよ!』なんて言われて、本心から不思議だったけど、今思うとなんとなくわかる気がします。このへんでやめときますが、わかる気がする、というのは、どういうことかというと、まあ逆の立場にすると、当時は『金持ちの男は本当にもてる』というある種残念な事実を、理屈で解明せんとして、しかも『好きなタイプはお金持ち』と公言する女性が実際には世に殆んどいないじゃないでじゃないか、ということを拠りどころに、ひょっとしたらそれを否定できるんじゃないか、と真剣に思う青さ、を当時は持っていた、ってことですかね。めいこちゃんは実はたいそうな美人で、僕と映画も見に行ってくれたし、アメフトの試合も、野球も二人で見に行ってくれたし、何度も食事にもつきあってくれたし、僕の両親にも紹介したけど、それ以上発展しなくて、ちょっと、惜しいことしちゃったな、とも思わないでもないです。でも、それ以上発展しなかったからめいこちゃんとは、まだ友達でいられる、という・・・いや、いや、いつものようにこのへんにしときます。)とにかく、3時の位置にいる日本人女性は整った顔立ちでスタイルもよかったんです。

 『ゲイ』連発白人はその美人にしきりに話しかけています。
 「へえ、そうなんだ。え?上智?そうなの。
  僕も上智だよ。学部は?」
 ・・あれ、なんか妙だな?
 「ふ~~ん、そうなんだ。ええと、ごめん、
  名前なんていったっけ?」
 
 えええ!あんたら初対面かよ!

 初対面で、ゲイゲイいってたのか。それはいかんだろう。だって、相手が女性だからといって、それは可能性としては低いけれど、でも、彼女がヘテロとは限らんではないか!いい度胸してるなあ。
 どうも、その男女は、なにかの理由で、今日知りあった、というのが何人かいるみたいなんです。それで、10時のゲイゲイ白人と3時の美人はどうも今日初めまして、らしいんですね。小顔美人は、しかし、ゲイゲイ白人の饒舌な攻撃にもさしたる動揺も見せず、大人びた対応をしつつ、改めて、という感じで自己紹介を始めました。
 「わたし?まき。」
 「まき?」
 「そう、My name is Maki Ishizaki.」
 とても綺麗な発音です。どうやら、3時の小顔美人は英語がかなり堪能なようで、彼女の英語での自己紹介がきっかけになり、その集団の会話は英語と日本語が入り混じりはじめました。英語交じりの会話になって僕が話題についていけなくなったことも手伝ってか、「いしざきまき」という言葉はなんとなく僕の頭の中で転がされていました。
 そして、突然に、その転がされた彼女の名前が、ジクゾーパズルの一片であったかのように、僕の頭の中で、薄い記憶に、ぽんっ!とはまりした。
 「??!・・い・し・ざ・き・ま・き!」(注:もちろん仮名です。)

 ええええ!あんた!売り出し中の某テレビ局の有名女子アナではありませんか!

 どうりで綺麗なはずです。
 しかし、あんたこんなところで何をしている!平日の昼間に電車の中で3時の位置で初対面の白人さんにゲイゲイ言われている場合じゃないでしょ、あなたはテレビの中でそれこそ3時に映っているべき人で・・・、いや、しかし、その『偶然』は僕にのみであって、おそらくはその日休みであった、いしざきまきさんにとっては、予定どおり何かの会合に出て、想定内に白人に知りあって、それで、別に芸能人じゃないから、ごく当たり前に本名で自己紹介をした、までだったはずです。(ゲイゲイ言われることまではさずがに必然性はなかったと思いますけど。)

 いやあ、改めて僕にはどれもこれも必然性がなくて、驚きの連続でした。

 ・・え?『ヘテロ』の意味がわからない?またまたあ、中学一年のとき理科で習ったじゃないですか?ほら、『ひゃあ、森永ホモ牛乳ってそういう意味だったのか?』ってみんなで騒いだでしょ?ほろ!?覚えてない!?知らない?なに?『森永ホモ牛乳』は、『森永男子同性愛牛乳』だと今まで思っていた??

 いやあ、それはびっくりです!!!
 そこがわからないと斯様な駄文を書くこと自体の必然性が、無くなる、とはいわずともかなり危うくなっちゃうんですけど・・・。

===終わり===


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緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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