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機能美。

 「ねえ、パパ。」
 「なに!」
  僕がたいへんな集中力でテレビの阪神タイガース戦観戦に臨んでいるとき(どのくらいの集中力かというと、仕事中の100倍くらいです。)、いつものようにいつのまにか僕の体をソファ代わりにして座っていた息子のそのあとに続く問いかけは僕の集中力をそぐのにはあまりある奇天烈なものでした。

 この間、ぼうっとしながら-だいたい、いつもぼうっとしてます。―、読むとは無しにあるアンケートを読んでいて、思わず噴き出してしまいました。
 なにしろぼうっとしてたので詳細は定かではありませんが、確か、そのアンケートの趣旨は女性向けで『女性が理解しかねる男性の特徴』といった類だったと思います。
 趣向上『自慢話が好き』とか傾向としてはネガティヴな項目が多かったんですけど、かなり上位に、3,4番目だったと思います、こうあったんです。

 『エンジンのついているものが好き。』
 
 なんだよそれ!、って思いながらも僕は、不覚にも声をあげて笑っちゃいました。だってそんな返答をする女性が何十人もいた、とは思えなかったからです。しかもあながち当を得ているだけに意表をつかれたわけです。
 僕が思うに、これは、このアンケートを編集した人の巧まざる殊勲だと思うんです。

 まず、僕が、なんだよそれ、って思ったように、
 「あなたが理解できない男性の特徴は何ですか?」
 って聞かれた女性が、異口同音に何十人も、
 「ええとお、エンジンがついているものが好きなのが
  なんでなのか理解できないかなあ。」
 と返答したとは思えないんです。

 そうじゃなくて、きっと、

 「なんか、いい年してえ、あれ、何だっけ?ガンダム?
  とか熱く語るひと。なんでガンダムなのか全然わかんない。
  わたしには仮面ライダーもウルトラマンもガンダム
  も一緒。」(アパレル 29歳)とか、

 「友人の男性がバイクの雑誌を定期購読してて毎月見させら
  れる。わたしには毎月同じ内容にしか見えない。勘弁して
  ほしい。」(学生 22歳)とか、

 「彼の車が『土禁』で靴を脱がされた。そんな習慣ないから
  乗ったあと靴を道路から取り上げるのを忘れて、そのまま
  わたしの靴は置いてけぼりにされて、結局紛失。私より車
  の方が大事なのか、と腹が立った。」
  (金融関係 31歳)とか、

 「職場のみんなでバーベキューに行ったら、最初から最後まで
  ラジコンで飛行機を飛ばしていた人がいた。私たちがゴミを
  捨てたり後片付けしてるときも、ラジコンの飛行機を大事そ
  うに専用の袋にいれてた。理解不能。」(派遣 28歳)とか、

 「合コンで隣になった男性にモデルガンの話を2時間もされた。
  ルックスは100点だっただけに、落差に激しく凹んだ。社会人
  なら初対面の人間と共通の話題を探る努力くらいしなさい。」
  (証券会社 40歳)とか、
  
 いう回答があって(もちろん上記の例は全部僕の想像です。)、これを見ていたこのアンケートの編集者の方が(僕の想像では、女性 マスコミ勤務 35歳)が、なんだか面倒だなあ、一緒にしちゃえ、っていうことで『いい年した大人の男性の、動力機関を持つ動くモノ方面への異常な言動』をこの言葉でひとくくりにしちゃったわけです。
 それで、アンケートを集計していくときに『あ、これもエンジン好き系だな』『ああ、これもエンジン、と』って言う感じでこの女性(マスコミ勤務 35歳)が『正』の字をメモ用紙に書いていったら『エンジン』が一躍上位にランクインしてしまい、かくして誰もそんな言葉は発していないのに、

 3位『エンジンがついているものが好き。』

となったわけです。うん。
 僕は、この言葉を創出して、女性全般がなんとなく抱いている『いい年した大人の男性の、動力機関を持つ動くモノ方面への異常な言動』をひとくくりにしちゃったアンケートの担当者(女性 マスコミ勤務 35歳)の編集能力は高く評価しちゃいますね。『アンケート』なんだから本当は創出なんかしてはいけないんだとは思いますけど、短い言葉で的を射ていて笑わせてもらったので僕個人としては大いに称賛するところなんであります。

 確かに、男性は年齢を問わず『動力機関を持つ動くモノ方面への執着』が女性より強いです。

 絶対にそんな場面には遭遇しないだろう、と思われる男性が空調の効いた事務所での商談中にしている腕時計が『100M防水』で、その防水機能の値が『30Mではなくて、100Mである』ことを嬉しがったりしてます。そしその男性はさらに『なんとかナイロンで作られていて、そのナイロンはスイス軍隊も使用していて、弾丸も通さない』鞄を持ってたりするんです。
 さらに、彼はそれがゆえに値段が高い『四輪駆動』の車を持っていて、舗装された道路しか走らないくせに『四輪駆動』であることを嬉しがっていて、-おまけにこういう車には、高そうな方位磁石だの、車体の傾きを示すものだの、ハンドル回りにモノモノしい計器がたくさんついてます。挙句の果てには車の前方にウインチ(巻き上げ機ですね。)までついてます。―たりするわけです。
 実際は毎日営業で名刺を交換とかして、馴染みの取引先とは『いやあ、先日も大叩きで最近はどうもいけません、あはは』なんてゴルフのスコアの話しなんかしてるくせに、その装備だけは海を100M潜り、弾丸が飛び交う中をかいくぐり、砂漠を走りきり、傾斜の激しい山の中で遭難した場合はウインチで巻き上げるんであります。
 たいへん御苦労なことです。

 僕は考えてみました。思うに、男性はエンジンの有無もさることながら、良く言えば機能ありきの美しさ-新幹線の顔が速さを求めるがゆえに流線形になっていることや、飛行機の翼が浮力を得るために持っている、たおやかにすら見える膨らみ、など-『機能美』-ですね、に理解が深くて、それに加えてスイス軍が使用しているものであるぞ、というような『具体的な謂れがあって過剰だと尚わくわくしちゃう』ということなんではないでしょうか?
 実は、愚息の嗜好もこの例外を出ないんです。よくあるように一時は電車好きでしたけど、最近は、下ネタと、昆虫と、ネジ・釘集め、にほぼ全エネルギーを割いています。特にネジ釘にはご執心で、いつのまにか、道に落ちているネジだの釘だのを錆びてようが、用途が不明だろうが毎日のように拾ってきて、薬をいれる透明のポリ袋に入れてコレクションを増やしていて、それをたまに袋から床にぶちまけて、ひとりで矯めつ眇めつ眺めてみたり、自分なりになにやら分類してみたりしています。
 女性であるさい君はこの行動が全く理解できないらしく、大いに呆れて、
 「こんなもの集めても意味がないし、だいたい不潔だ。」
 とぶつぶつ不平を言ってます。でも僕は、自分が子供のころ、一時期似たようなことをして犬みたいに利用価値のない鉄くずだの釘だのを玄関の片隅に集めていたのも思い出して、
 「男の子にはそういう時期があるのだ。
  すておけたまえ。」
 とさい君には言い聞かせ、さらに、
 「ふうむ。こいつも小さいとはいえやっぱり男
  なんだなあ。釘やネジにこいつなりに機能美
  を感じているに違いない。」
 と呆れるどころか男同士の親近感さえ感じていました。
 いいぞ、遅いが確実に成長しておるな、我が子よ。息子は毎日のようにコレクションを充実させていて『ネジ山はないけど先はとがっていない』何かの部品を僕に見せて、真剣に、
 「ねえ、パパ、これはネジか釘かどっちだろう?」
 なんて質問してきたりします。
 さい君が息子が宿題をだらだらやってたりすると、息子の錆びだらけの『コレクション』を掴んで、
 「宿題ちゃんとしないから、これ全部捨てる!」
 などと言った時には、ハルマゲドン到来かのように激しく泣きわめいて抵抗してます。

 それどころかさる日、彼が興奮して報告したところによるとなんと、彼のコレクションがきっかけでリフォーム業者から営業をうけたらしいのです。
 どういうことかというと、僕も初めて知ったんですけど息子には『ネジ・釘のコレクション仲間』がいて、学校から帰る途中、路上でお互いの『コレクション』を開陳し、至福の時間を過ごしていたところ、
 「親切な知らないおじさんが、たくさん
  釘とネジを持ってきてくれた。」
 んだそうです。
 「え、こら、知らないひとには注意し
  なくちゃいけないじゃないか。」
 と僕が言おうとしたら、息子はさい君に彼女の母国語で、
 「その人はね、おうちをなおすひとなんだって。
  だからうちをなおすときは、おじさんに言ってね、
  だってさ。」
 だそうです。
 ちゃんとおじさんの目的どおり、母親に営業してました。

 そして、つい数日まえ、帰宅したらやはり息子は、自分のコレクションを床に広げて、うっとりとしていました。僕は、ははあ、やってるな、と思いつつ晩飯をすませ、床に寝転がってテレビを見始めました。
 「ねえ、パパ。」
 「なに!」
  僕がたいへんな集中力でテレビの阪神タイガース戦観戦に臨んでいるとき(どのくらいの集中力かというと、仕事中の100倍くらいです。)、いつものように気付くと僕の体をソファ代わりにして座っていた息子の、そのあとに続く問いかけは僕の集中力をそぐのには余りある奇天烈なものでした。
 「パパか、ジジの、ともだちにい、」
 「うん、なんだよ!」
 僕は阪神に送り続ける気合いを邪魔されて少し苛つきながら相手をしました。

 「きこりいない?」
 「えっ????」
 「だからあ、パパかジジのともだちにさ、きこりいないの?」
 「・・き、きこり?」
 「うん、きこり。」
 
 僕は全然要領を得なくて、でも一応返答しました。
 「・・樵はいないなあ。でも、なんで?」
 「フジさあ、フジのコレクションをとんかちで木に
  うちつけてみたくなったんだよ。木はさ、きこりが
  もってるでしょ?でも、きこりのともだちいないの
  か・・・。」

 ・・・どうもまだおつむが弱いようです。息子の言動に『機能美好き』という男性らしさを発見した、と喜ぶのは時期尚早だったかもしれません。

 ちなみに、僕(会社員 男性 年齢不詳。)は『エンジンのついているもの』で特に好きなものはないですが、『エンジンのついているかの如き、球速表示の埒外にある阪神タイガースの藤川球児のストレートの威力』を語らせるとうるさいです。男性のみなさんは普通そうですよね?え?特にどうでもいい?そんな・・。

===終わり===



   
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緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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