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痛い!!①

 まず、初めに断り申し上げますが、以下の話は僕の実体験です。『ほな、何かい、いままでのは事実とちゃう、いうんかい!?え~~、おい!』というのは、いちゃもんというものでありまして、僕が今回わざわざ実体験です、と断ったのは、他人の痛みを面白がっているわけではありません、ということと、よい子はまねをしないようにしましょう、ということを前もって言っておきたかったからです。

 今回の『痛い』話は、僕の体験の中で、かつ『人様に言える範囲』では(だれだって、人に言えないことはありますよね。僕にもたくさんあります。中学1年の技術の授業前に大便を漏らした、中学2年のとき夢精して寝ぼけてブリーフをはきかえたつもりで学校にいってどうも小用がうまくできないと思ったら母親のグンゼのパンツをはいていた、高校のとき中間テスト中におならをした、高校の数学の授業で問題が解けないならまだしも『log』関数を『ロジ』と発音した、高校3年の秋に模擬試験を受けたはいいけど『試験結果の見方』がわからず標準偏差を自分の偏差値だと思いこみあまりの低さにめまいがした、浪人中までのびのびジーンズをはいていた、かつて体脂肪率が三分の一以上だった、お尻が拭けないほどの肥満体になったことがある,・・・え?もう十分でありますか?と、まあ、そういう程度ならお話できますが―まだありますけど―こんなレベルではない、とてもお話できないことは、僕にもいっぱいあります。)、
 *痛さ度  2位
 *衝撃度  4位
 *不可解度 2位
 *不愉快度 1位
といったところです。

 あれは、たしか高校1年生の真冬のことです。僕はラグビー部員で、練習中でした。ラグビーをやったり、見たことのある方ならご存じと思いますが、ラグビーのスパイクの裏の『ポイント』はだいたい金属製です。そういう猛々しいものでヒトの肉体を踏むと、相当痛いです。もちろんわざと踏むのは反則ですし、それは最近以前ほど見なくなりましたが『ストンピンッッッッッッ!』と男子中学生がよく教室のうしろや、体育館のマットのうえでまねしていた別種のスポーツの『ある定番の技』でありまして、ましてや練習中にチームメートをわざとふんづけるなんてことはあり得ません。が、敵との接触性・格闘性の高いスポーツだけに、試合はもちろん練習中でも、足だけでなく、立ってようが寝てようが、体のありとあらゆるところにその金属がとんでくる可能性はあります。しかし一方、慣れとはすばらしいもので、新入部員のときは、いちいち激痛がはしり、足なんか踏まれた日には、痛さをこらえようとして、真夏のプールサイドにはだしで降り立った人のような奇妙な仕草になっていたのに、そのうち、足をふまれるとか、顔以外を(露出しているふとももとかも)少々踏まれたり蹴られたりしても、痛痒を感じなくなってくるんです。たくましいですねえ。
 ただ、僕は、今『少々』踏まれたり蹴られたりしても、と書きました。そうです。その日、僕は、『少々』でない衝撃をうけたんです。詳細は省きますが、突進してきた同級生の山案山子くんが―そうです。「みぢかえない話①」の特段に称賛に値するわけでもない男、山案山子くん、その人です。僕は交友関係は広いほうではありません。が、もちろん友人は山案山子(面倒なので以下呼び捨て)しかいないわけではなく、また『たった2人のラグビー部』などというせつない話でもなく、たまたまこの事故相手が彼だったんです―、僕の持っているダミーにぶつかって、『うん!』と踏ん張ったとき、彼の右足が僕の右足の真上に乗りました。しかし、そういうこともよくあることで、先述のように、『少々』なら日常の出来事ですんだんです。想像していただきたい非日常性をこれから述べます。すなわち、そのとき、山案山子が重心をのせて『うん!』と踏ん張ったスパイクのポイントの一つが、僕のスパイクの皮の上から、ちょうど右足の親指のつめにまさに寸分の狂いもなくつきささったんです。痛い。これは痛かった。ひさしぶりに真夏のプールサイドステップになった僕は、しかし、その程度で練習を休む身分でもなければ、つもりもなく、プールサイドステップのままその日は練習を切りぬけました。しかしながら、僕のいう痛さ度2位はこの『真冬にポイントが爪にピンポイントでささった』こと、ではなく―もちろん、そのことも十分痛かったですけど―後述する別の状況での痛さについてです。
 さて、くだんの右足の親指の爪はその日以後時間がたつにつれ、紫と、赤紫と、どす黒い赤、とのグラデーションで染まってきました。どうも爪の下でかなりの内出血があるようです。しかし、僕は、ほっとけば治るだろうと、たかをくくって処置をせず、その後も普通に練習にも参加してました。ところが、そのグラデーションは日を追うごとに面積を増し、ついには爪全体が白い部分がないくらいに染まっていきました。のみならず、走るたびに脳天まで突きぬけてくるような『鈍いけれど深くて重い痛み』を感じはじめました。こりゃ治らんかなあ、練習に集中できんなあ、という不安にさらに追い打ちをかけるように、こんどは爪の先端部分が剥離してドアノブが壊れた扉のように、走るたびに剥離した爪の先端がパカパカと踊るようになり、痛みに拍車がかかってきました。ことここに至って、このままで推移せんか練習に支障が出て、レギュラーーポジションを失わん、という危惧をいだいた僕は(といっても15人でやるスポーツで、部員は16人しかいませんでしたけど)、意を決して、先端がパカパカで付け根がグラデーションの爪を近所の外科医にみてもらいにいきました。実は僕のいう痛さ度というのは、ここの診察で経験したことです。
 医者に行って、丸椅子にすわって、爪を見せると、医者は無造作に、『パカパカ』を上下に動かし(う!痛いじぇねえかよ!!)
 「ああ、こりゃもう爪が壊死してるな。
  取っちゃったほうがいいな。」
と僕にいうでもなくつぶやくでもなく言いました。(え、「取る」?どうやって?)と僕の頭が不安につつまれるよりも早く、医者はいきなりペンチ状の器具を手に持つと、あ、と僕が思う間もなく、『パカパカ』をペンチではさむと力ずくで爪を上方にはがしにかかりました。
 「!!!!!!!!ッッテエッ!」
と心の準備もないところに突発した、爪の付け根からの経験のない全身をはしる激痛に耐えがたく、思わず大きな悲鳴を発しました。すると医者は
 「痛い、痛い言うな!もう壊死してるんだから
  痛いわけがなあい!!」
 と僕に言わせると知ったような―いやしくも国の認めた医師免許保持者に対して『知ったような』というのは言いがかりというものでしょうが、国家が認めても、全身を走り脳天を貫ぬかんというこの激痛が、その軽はずみな発言をゆるさん、ということであります―ことを言いながら、盛んにぐいぐいとペンチを持つ手に力を加えて上に引っ張ります。痛あい!、とにかく、痛い!またしても僕が、
 「いっっつう!!!!!!!」
 と、悶絶すると、医者は、なかなかとれない爪と僕のうめき声にいらいらしてか、
 「うるさい!男の子がこれしきで、痛いっ、
  て言うな。」
 と感情的に言いながら、一方で、
 「んんっ!! お? ふんっ!! あれ? 
  ふんんっ!!」
 と予想以上に頑固な僕のつめに戸惑いも感じはじめ、さらに力を加え、もう『めりめりめり!!』という感じで爪と格闘しています。その間、僕は、背もたれもない椅子の上で膝をかかえて、うしろにのけぞり、体を固くして痛さに耐え、しかし『痛いはずはない』という医者が言うんだから、と声を噛み殺し、目をぎゅっとつぶって、立ち泳ぎしてる人みたく上を向いてただただ口をぱくぱくさせていました。
 そのうち、ある時点で、医者の態度に「何やら突破した雰囲気」が見られたと思った次の瞬間、めりめりという今までの感覚ではなく『べりべりべりべり』という感覚とともに、最高潮の激痛が走り、最後に『びちっ!!』という感覚と共に頭が真っ白になった、と思ったら、次第に痛みがじんじんじんと微減していくのに気づき、ふと目をあけて顔を正面にもどしました。眼前には、ペンチにはさまれた収穫物をプロらしからぬ表情で興味深げに見入る医者が。荒療治が終了したことを自覚した僕も、すこしづつ、しかし、確実に減っていく痛みをこらえながら、おなじく獲物に目を凝らしました。そこには確かに、親指の爪がまるまる一枚、裏側の一部に赤紫と肌色が混ざった肉片をつけたまま、ペンチの先に寡黙におさまっていました。え?『肉片』?そうなんです。医者が『壊死している』と断言した爪は完全に壊死していたわけではなく、一部はまだ体とつながっていたわけです。医者は、満足気に獲物を凝視しながら、
 「ああ、『肉』ついてんな。こりゃ痛いわ。」
となぜだか、獲物に話しかけてました。いや、それは僕にいうべきじゃ・・。そうなんです。全部ではありませんが、これはいわゆる『生爪をはがす痛さ』てやつですなんです。男の子でも痛いんじゃないかと今でも思っています。
 その後、爪こそゼロになり、もっていかれた肉片のあとには小さからぬ傷が残りましたが、練習はずっと楽になりました。ところがこの件は、後日談があって、僕が、不可解度2位と不愉快度1位とした理由は、その後日談にあります。当然、なくなったあとはつめが生えてくるわけですが、これが異常な形をしていて、小さな波状の爪が、まず生えてきました。すこし凸面があるんです。あれ、変だなと思っているとそのあとまた、小さな凸面をもった爪がはえてきて、1,2カ月してようやく先端まで爪がはえそろったころには、生え際から先端まで本来平らなはずなのに、2,3ミリ単位で先端に向かって、凹凸ができていて『波』みたいな見た目になってます。『波』というと聞こえはいいですが、ようはでこぼこで、あきらかにグロテスクで、異常です。まあ、最初だからこいつらもこういう登場の仕方しかできんのだろう、と大目にみてほったらかしてましたが、そのあともずーっとこの状態で『波だけに』というわけでもないと思いますが、止まりません。ありゃあ、この調子じゃ一生このままだな、と諦めてしまいました。まあ、そこは、それこそ男の子ですから、本来の機能さえ果たしてくれれば、爪のかたちくらい、といつのまにか忘れてました。ところが、これは本当に不可思議なことなんですけど、数年後のある日、右足の親指の爪に覚えのある『ぱかぱか』感が・・・。え?まさか。僕はそのときもラグビ―を続けていたので、『あれ、最近踏まれた覚えなんかないぞ』と『生爪はがしの悪夢再びか』という恐怖心とともに、おそるおそる足を見てみると、確かに、例のでこぼこ爪が浮いています。でも痛みは全く無く、何事ならん、とそろりとそのでこぼこ爪をはがしにかかってみると、痛みどころか、ほぼ感覚もなくでこぼこ君ははがれ、その下になんと通常の爪が、きれいに生えていました。僕は脱皮したてのカブトムシ(写真でしか見たことないですけど)か、切られたとかげのしっぽ(こちらは実物を1、2回見たことがあります。切られてしばらくは暴れまわるんですよね。不思議です。それから、会社では、1、2回どころじゃなく見たことがあります。こちらは切られても、なぜか暴れないタイプがほとんどです。)でも見るように、しばし呆然と、はがされた、でこぼこ爪と新しい爪を見比べて感慨にひたりました。人間にも再生能力があって、本人の意思とは関係ないところで、少しづつ再生作業を積み重ねて、完成を待ってでてきたんでしょうか?その歳月が、踏まれて以来、数週間、数か月などというものではないだけに、自分の体とはいえ、ヒトの再生能力の逞しさに驚きを禁じ得ませんでした。そして、僕は、この感動を誰かに伝えたい、共有したい、と思いました。親か?兄弟か?くだんの医者か?・・・・、いや、ちがう、これは、原因も、荒療治も、爪なしでの練習も、でこぼこ爪で過ごす覚悟も、すべての歴史を共有できる男がいるじゃないですか?しかも親友に。そう、山案山子だ!そこで、僕は、その直後、彼と飲みにいった際に、今回のヒトの再生能力にいかに感動したか、について熱弁をふるい、山案山子の熱い共感を期待しました。にもかかわらず、山案山子の反応は、あろうまいことか、次のようなものでした。
 「ん?そんなことあったっけ?それ、俺じゃない
  んじゃないの?  ・・・・あ!知ってる?本
  山と平田さん、つきあってるらしいよ。意外じゃ
  ない?それで、笑えるのがさあ、平田さんの親が
  反対してて、その理由がさあ、へへ、『本山がバ
  ンドやってるから』なんだって!!じゃあ、バン
  ドやめればいいのかよって、今どき、笑えるよっ
  なあ、はははは。」
 「・・・・・・・・・。」

許せませんな。不愉快極まりません。
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緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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