スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

応援。

 「いやあ、面白かった。オトサンって本当
  に悪さ好きな人ね。ははは。」
 帰宅したさい君の報告を聞いた僕は、-さい君は相変わらず発音が違います。オトサンじゃなくてオトウサンなんですけどね。-、他人ならともかく、当人としては『これは単純に、楽しい家族の話、として片付けてしまっていいものだろうか?』と考え込んでしまいました。

 先日、さい君、息子、僕の両親の4人で外食にでかけたときのことだそうです。幸いにして僕の両親は健在です。そして、ありがたいことに、-これはまっことにありがたいことです。と同時に、この種の問題で悩まれている方には心から同情申し上げます。-、僕の両親とさい君の関係も、平坦なときばかりであったわけではないですが概ね良好です。だから、斯様なメンバ-で一緒に外出することも少なからずあります。 
 僕のオトサン、いえ、父親かずまさは(彼の人となりについては、10年4月24日『父親みどりかずまさ。』5月16日『母は強し。』5月23日『みぢかえない話③。』9月5日『にちつかしょくの法則。』10月2日『科学的追認実験。』12月18日『尖端恐怖症。』11年1月18日『みぢかえる父かずまさ』をご参照ください。こうやって並べてみるとこのブログにおけるかずまさの貢献度は大きいです。現在までのところ、山案山子と並んで双璧と言えます。・・・え?いや『双璧だからそれがどうした』と言われると元も子もないですが。)すでに数年前に、学卒後の会社で終身雇用を勤めあげました(その会社さんの名前は出せませんが、かずまさを最後まで雇っていただきありがとうございます。これからも頑張ってください。)。それでその後はつつましく年金生活を・・とはならず、何やら『仕事』と称して週に三日前後外出しています。まあ、本人がそれで楽しくて、何がしかの収入もあるんならいいか、と思っていたら、母親の言によると、
 「冗談じゃないわよ。持ち出しよ、持ち出し!
  家でじっとしてくれて年金の範囲内で生活し
  てくれたほうが経済的にはどんだけ楽か。」
 ってことらしいです。どういうこと?、かというと、月に頂いているものはあるもののそんなに多くはなく、ところが、かずまさはその性格からして、-よく言うと親分肌、悪く言うと外面がいい-、アナクロニズムよろしく未だに、
 「男には付き合いで惜しんではいかん金がある!」
 などといいつつ自費で『仕事関係のゴルフ』にも行くし、これは昔からですが、母曰く『大物ぶって豪快に他人に奢る』らしいです。しかし、月々頂いているものの多寡は決して大物のそれではないのでマイナス収支を計上しつづけているそうです。
 その仕事、っていうのが一体何をやっているのか、僕も何回も本人に聞いてみたんですけど、なんだか要領を得なくて未だに判然としません。よく電話では、他人に、
 「いま僕の応援している会社があるんだけどね。」
 なんて言ってます。
(なんだよ、『応援してる』ってのは。そういう言葉を雇用形態のあり方や業務内容の形容として使用する人なんていないぞ。しかも給料より持ち出しが多くて、仕事が『応援』ってなんだ?)と僕は、わが父ながらこの男大丈夫かなあ、と心配です。
 しかも、それだけならともかく、どうやら株に手を出しているらしく、その収支が・・・いや、株の件は書きません、この辺りでやめておかないと、書いてる方も読んでいただいてる方も悲しくなってきちゃうといけないので。
 そういうわけで、電球の玉ひとつ変えられないような機械音痴のかずまさも(一応必要と思ったらしく、パソコン、それもノートブック型ではなくて何やら高そうなデスクトップ型のそれを豪快に購入しましたが、結局、今では手も触れないので、『1分の1サイズのオブジェ』になってます。いまの『応援している会社』でも『緑さんはメールは絶対に読まない』という周りからの理解、いや諦念をしっかりと得て確立してしまったようです。極たまにいますよね、そういう人。)、携帯電話だけは頻繁に利用しています。
 でも電話機能のみです。大きな数字なボタンと大きな画面表示の端末で、間違えても携帯を使ってメールなんかしないし、電話番号登録もしません。

 さい君の話によると・・・。
 その時、目当ての店が満員で、四人で順番待ちをしていたそうです。
 店が用意してくれている店外の椅子に座って雑談していたとき、かずまさが、唐突に、
 「ちょっと電話してくる。仕事の件だから。」
と言って、行列から離れたところに行きました。かずまさとしては、仕事の件だから、喧騒を避けて静かなところで話さないといけないから、と説明したつもりです。特におかしくはないです。
 と、その時、さい君の携帯から着信音が。見ると『OTO-SAN』とあります。さい君は『オトサン』の携帯番号も登録してあって、つい先刻、待ち合わせ前に遅れそうになったので、かずまさに電話をしたんですが、かずまさはその電話に気付かず結局四人は落ち合えたものの、かずまさの携帯には大きな字でさい君の携帯電話番号が、-かずまさは電話帳登録なんかしませんから、番号がそのままに-、『不在着信』として残ったわけです。そして1時間後、食事のために店外で待っている時、かずまさはふと自分の携帯に『不在着信』を発見し何を思ったのか『仕事の件だから』と断言して列をはずしたんです。
 さい君は携帯を見て、かずまさが大真面目な顔で席をはずして仕事と称してかけた電話が自分にかかってきたことが可笑しくて、笑いながら隣に座っている母親にその画面を見せ、
 「オカサン、オトサンよ。オトサン
  ユウに電話してるよ。仕事じゃないよ。」
と言いました。それを見た母親は、いかにも『何が仕事だ、しょうがない人だな』という顔をして、受信ボタンを押すと声色を変えて、いきなり大きな声でこう言ったんだそうです。
 「きょう、あいたい!」
 ・・・・母親も何を考えているんですかね。そもそも、咄嗟にこんな離れ業をやってのけられるということは、普段から父親の行動に疑念を抱いている証拠です。それに電話で名乗らずにいきなり『今日、逢いたい!』なんていう女性がいるとしたら、それはその女性とは尋常でない『親しい関係』にあることになります。もし、父親が本当にいい年をして『それらしき存在の方』を家庭外に持っていたりして、この母親の行動でそれが露見したらひと騒動ではおさまらないです。
 ・・・・父親はかくのごとく『即答した』そうです。

 「今日ですか?今日はちょっと時間が、ええと・・」

 ・・・おい、かずまさ、スケジュールを真剣に検討してどうする。
 「オトサン、これユウのでんわばんごうよ。」
 と、これ以上詮索することなく、さい君が笑いながら種明かしをしたところ、かずまさは、電話を切り、
 「なんだ、ばかやろ。」
 呟きながら、一向に悪びれずに列に戻ってきたそうです。

 「それで、お母さん、なんて言ってた?」
 と僕が複雑な気持ちでさい君に尋ねたら、母親と父親の間では、おおよそ下記のような会話がなされたらしいです。
 「全く、仕事なんていって、本当に懲りないんだから。
  誰だと思ったのよ!?」
 「ばかやろ。違うよ。誰だかわかんないけど、とりあえず
  失礼のないようにだな・・・」
 「嘘ばっかり!普通いきなり女の人の声で、今日会いたい、
  ていわれたら誰か聞くでしょ?」
 「ばかやろ、違うよ。ばかやろ。」

 「それで終わり?」
 とやや心配しながら聞く僕に、さい君は、
 「うん。いやあ、面白かった。オトサンって本当に
  悪さ好きな人ね。ははは。」
 とにこにこしながら答えました。

 この事件は、
 ①まず嫁と姑の間で『悪さをしかねない男、かずまさ像』
  という、内容はともかくある種堅牢な『コンセンサス』
  が形成されていたこと。
 ②嫁と姑の咄嗟の連携プレーなしにはできないこと。
 ③母親は父親を未だに疑っていること。
 ④かずまさは、未だに『品行に問題がある』点において
  きわめて『黒に近いグレー』であること。
 ⑤かずまさは『スケジュール調整好き』な男であること。
 が前提になっています。
 つまり、僕にとっては、さい君と母親の関係が良好である、ということと同時に、一方では、我が父かずまさの『放蕩者としての健在ぶり』の一端を示されたわけです。
 だから、にこにこすることで終わらせてしまっているさい君と違い、当事者としては手放しで『楽しい話』で片づけるのはいかがなものか、と思っているんです・・・・。
===終わり===
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

うまいこといわれますね。

うん、そのとおり、うまいこといわれますね。確かに、金銭的なことも含めて、それ以外のこともBSに計上できるとしたら、借り方のみならず貸し方もかなりのものになるので、「総資産」は大きくなるでしょうね・・・。ただし、経験はともかく、現在の金銭的な自己資本は計算するのもおそろしいくらい低いと思います。しかも毎期「余計なもの」も含めて総資産は増えているのに、経済的内部留保は薄くなる一方なので、心配です。しかし、うまいこと言われますね。僭越ながら感心しました。

No title

さすがかずまささん。下で言われているように幸せなんでしょうが、なんちゅーか人生の貸借対照表を作ったらなにやらめちゃくちゃ総資産大きくなりそうですね。いや財産とかお金っていうことじゃなくて、その経験とか思い出とかっていうカテゴリーでBS作ったら、、、というイメージですよ。息子さんの立場からは何かと非難が先にたつのかもしれないけど、やっぱり客観的にみて大人物なんですよ。いまや天然記念物級の。大切に保存してあげてください。

ええ、本人は・・。

> いやー、オトサン、幸せな人ですね。
ええ、本人は生きたいように生きてますので。それと周りにいて、『なんだかしらないけどいっつも奢ってもらってる皆さん』もわりと幸せだと思います。家族は・・・どうなんでしょう?

No title

いやー、オトサン、幸せな人ですね。
プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
フリーエリア
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村
フリーエリア
フリーエリア

人気ブログランキングへ
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。