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花咲かじいさん。

 僕は、八歳になったばかりのわが子の答案用紙に思わず眉を顰めてしまいました。
 全問正解にもかかわらず、です。

もちろん、彼もそれなりに成長はしています。
 つい先日も帰宅後、いきなり、ポケモンの戦闘ごっこに付き合わされたときのことです。
 ポケモンのフィギュアを床にばらまいて、どれとどれを対戦させるか、だの、さあ、対戦です、どういう武器を選ぶ?、このポケモンは水タイプなのでそんな武器は使えないよ、だのという『戦闘ごっこ』に付き合うわけです。向こうはどう思っているかわかんないけど、僕は、ポケモンごっこには特に興味がありません。そのうえ、仕事帰りだし、疲れてるから勘弁してくんないかなあ、とかなりなげやりな気持ちでつきあいます。どういうわけか、この手の遊びは全く彼の母親であるさい君を誘うことはなく、きまって僕しか誘いません。興味がないのは俺もさい君と同じなんだけどなあ・・、たまには母親とも遊んでほしいなあ、なんて不平等感を抱きながら適当に相手をするわけです。
 (あ、それとここまで読ませといて申しわけありませんが、今回は若干尾籠な話なのでお食事時に読むのは避けていただいた方がいいと思います。前もって言わずにすみません。)
 こっちは中年の仕事帰りの男でやる気があるわけではないので、相手をしながらも無聊感はあって、ばらまかれたフィギュアのなかで現在の決闘に関係のない分解された『ジラ―チの島』をなんとなく組み立てて時間を潰しながらふにゃふにゃと片手間で参加しています。
「あっと!野性のフシギバナに出会いました。捕まえる、
 逃げる、自分のポケモンを交換する、どうする?」
「・・ん?うう、逃げる。」
(どうでもいいんだけど。そんなことよりこの『ジラ―チの島』意外に作るの難しいじゃねえか。)
「え?逃げるの?」
「え、ん?うん逃げる。」
「・・逃げないほうがいんじゃない?」
「いや、逃げる。」
(なんだこれ、部品が足りないんじゃねえか?)
「捕まえる、のほうがいいんじゃない?」
 彼の筋書きではここで『逃げる』を選択されるのはうまくないようです。
「・・ん?え?なんだって?」
「戦うほうがいいっていってるの!ちょっとパパ、ジラ―チの島
 は今かんけいないでしょ?」
 (・・・『戦う』ことに決めちゃってるんなら、俺はそもそも要らないじゃねえか、ん?このパーツはここに、あれ、おかしいなあ?)
「パパ!」
「ん?ああ、じゃあ戦う、戦う。」
 (こいつ『ジラ―チの島』のパーツをどっかに無くしてるから完成しないじゃねえか。)
「じゃあ、武器はどうする・・、ちょっとそれやめてよ!」
「・・・ん、んん?」
 生返事連発の父親。すると、フジは、しばし手をとめるとちいさいため息をついて教師然として、言いました。

「ふう。どうも一回言っただけではわからないようだね。」

 僕は、彼の大人びた発言と、状況(ポケモンごっこに中年がいやいやつきあってやっている)と息子の年齢との乖離に意表をつかれて笑ってしまいました。いつのまにやらこういう言葉使いを覚えていることに驚きながら。


 ただ、どうも総合的には幼いです。その一例が、この年齢の男の子によくある下ネタ好きです。それも、風呂に入るまえに裸になって、まだ蒙古斑の残る背中をみせお尻をふりふりして、
「パパ見てみて、お尻ふりふりい!」
 今度は前をみせて、
「ちんちんぶりぶりソーセージ!」
 ・・・・面白くも、なんとも、ありません。
 しかし、本人は自分でやっておいて、
「うえ、うえへへへへへっへ。」
 とよだれを流さんとばかりにバカ受けしています。ああ、くだらん、と思いながらも僕も少しは反応しているようで、下ネタの披露は父親に集中攻撃されます。言葉を費やすまでもなく、この手のことに対する年齢を問わない女性の冷徹なまでの黙殺ぶりは見事なもので、さい君も例外ではないです。こいつ、たぶん学校でも同じように、一部の男の子だけで異様に盛り上がって、同級生の女の子には『瞬殺』されてるんだろうなあ。馬鹿だよなあ。気の毒に。
 さい君は黙殺しながらも、
「なんで、フジはあんなに下品なことばかり言いだしたのか?」
 と不思議がってます。
「いや、まあ、男の子にはこういう糞尿関係に興味が集中する
 年代があるんである。あんたもお兄さんや弟がいたからわか
 るであろう。」
と言ったら、驚いたことに、さい君曰く、
「え、ほんとう?私の国では、兄弟にも学校にもそんな
 男の子はいなかった。」
 と言い張って心配してます。
「いやいや、心配ないんである、こういうもんである。」
「そうかなあ。」
「そうそう。」
 と僕は、女子生徒に瞬殺されているであろうわが子と、子供とは言え、こういうくだらないことにエネルギーを真剣に注いでいる人間を職業として相手にしなければいけない担任の先生、-杉田先生です。若くて、字と見た目が綺麗な、包容力のあるとってもいい女性の先生です-、を気の毒におもいこそすれ、全然心配していませんでした。まあ本人は面白いと思って『他人から笑いをとるツールのひとつ』として時期的に下ネタに走っているだけだで、そういう言動を自分のアイデンテティとして確立しようとしているわけでもあるまいに、と。

 ところが、ある日帰宅後、いつものように床にばらまかれている、-フジはものすごくがさつな男で、帰宅したらまるでそれが儀式のひとつでもあるかのように、上着やランドセル、およびランドセルの中身を花咲かじいさんかのごとく不必要に盛大に床にぶちまけます。親としては多少心配です。-、斜めに折られたプリント、-彼はまた、ものすごくいい加減な男で、プリントの端をそろえてふたつに折る、ことができません。そういうことの達成に興味がないみたいです、親としては、かなり心配です‐、のひとつを何の気なしに拾ってみたら、算数のテストの答案用紙でした。
 我が家では、さい君は外人で日本語の読み書きが不自由なこともあって、この種のものについては、『できているか、いないか』ということには気を払っているようですが、詳細までは見ていません。僕はといえば、ごくたまに見る程度です。
 その日はなぜかたまたま花咲かじいさんの一枚を何気なく床から手にしました。それは、算数のテストの答案用紙でした。僕は、一瞥して、我が子の答案用紙に思わず眉を顰めてしまいました。全問正解にもかかわらず、です。
 それは計算の応用問題で、『答えが24になるようなもんだいをつくりましょう。』というものでした。それに対して、
 :もんだい
 :しき
 :こたえ
 を書く、という手順がもとめられています。フジは大きな丸をもらっています。つまり『あっている』わけです。問題はその中身です。そこには、均衡を欠いたばらばらの字で、-なにしろがさつな男ですから-、こうありました。
「うんちが8こあります。うんちには3つずつ
 きずがあります。きずはぜんぶでなんこでしょう。」
 ・・・ガチンコです。アイデンティティとせん、としているではないですか!
 今回は『笑いをとるツール』ではありません。なぜって、この文章は、フジ本人と杉田先生しか見ない確率が高いのは本人もわかっているはずだからです。しき 8X3 こたえ 24。あってます。
 しかし、その欄外に要求されていない絵までかかれています。
 なにやらゾウリムシ型の物体が8個書かれており、それぞれに傷が3つついています。やや短くて太い『いっぽん糞系統』の排泄物の絵です。繰り返しますがフジは丸をもらっています。僕は、こんな答案に時間を割いて丸までくださる杉田先生の寛大さに感謝するやら、時間をうばってしまったことに申し訳ないやら、という気持ちになり、さすがに我が子を呼び付けました。
「フジ、これさ・・」
「ああ、それね。うん。全部できてるでしょ?」
 とにこにこする暴君。
「うん、でもこの答え、杉田先生なんか言ってなかったか?」
「なんにも。なんで?」
「いや、なんでって、これ、うんちだろ?」
 と絵を指していいました。
「うん、そうだよ、フジうんちってせつめいしてあるでしょ?
 だから絵もうんち。」
「・・・・いや、でも別にうんちでなくても、いいんじゃ・・」
 ここでフジがにこにこしながら言葉を遮り、
「パパ、フジうんちの絵うまいでしょ?なんで普通のうんちの
 絵ってみんなソフトクリームの形なんだろうねえ。こういう
 かたちのほうが似てるよねえ。ねえ、ねえ、パパはさ、ソフ
 トクリームみたいなうんちしたことある?」
「え、いや、そういえばああいうきれいな巻き糞は確かにあり
 得ないな、パパはたいてい『いっぽん系』で、ん??・・・」
 と僕は、あろうまいことか花咲かじいさんの話術に巻き込まれそうになりました。
「いや、あのな、そういうことじゃなくて、テストには
 うんちとかは書いちゃいけないんである。」
「ええ、いいんだよ。せんせいも何にもいわなかったし。
 でも、うんちの絵はにてるでしょ?」
「・・・・・・。」
 ・・・こいつ大丈夫かなあ、と心配になりました。

 それから2カ月後のある日、またしても花咲かじいさんのしわくちゃの一部をひろうと、また算数の応用問題です。中身はまえより難しくなっています。曰く、
 『たし算・ひき算(3)
  下の図を見て、もんだいをつくりましょう。
  ①ぜんぶの数15本、あげた数( )本、のこりの数9本』
 とあり、それを表した簡単な図が書かれています。
 そして以前のように、
 :もんだい
 :しき(今度は穴埋めも必要です。)
 :こたえ
 を要求されています。これに対するフジの答えを見て、僕は額に手をあててしまいました。前回と同じく、杉田先生は丸をくれています。ありがたいことです。
 そこには例によって、猛烈な金釘流で、
『ゴリラマウンテンは、バナナを15本もっていました。
 おならゴリラに何本かあげたので、9本のこりました。
 バナナは今、何本でしょう。
 しき 15-9=6 A.6本」
 ・・・・またガチンコ勝負です。丸をもらっているうえに、この問題は『あげた数』を求めるのであって、『今何本か』を求めるのではないので、『今、何本でしょう。』の部分は、杉田先生がわざわざ『のこっているでしょう。』と赤字で添削してくれています。でも、おならゴリラはそのままです。
 「おい、フジ。」
 「なに?」
 「この答え見て杉田先生に注意されなかったか?」
 「なんで?」
 と、またしてもにこにこする愚息。
 「おならとか書いちゃだめじゃないか。
  それにゴリラマウンテンじゃなくて
  マウンテンゴリラじゃないのか?」
 「ちがうよ。がくめいは、ゴリラマウンテンゴリラ、っ
  て言うんだよ。」
 いきなり、おならゴリラを考案した同じ人間からとは思えない『学名』という難易度の高い日本語が飛び出し、もしや、こっちの常識の方が間違っていたりして、と思ってわざわざ調べたら、やっぱり適当なことを言ってました。
 「誰が、そんなこといったんだよ。」
 「たつろう。だってたつろうはさんねいせいだよ!」
 ・・・いや、父は社会人XX年目なんだけど。
 あきれつつ②番の問題を見てみました。今度は、コメントなしで、丸をもらってます。
 『②ぜんぶの数18こ あったかず8こ 
  かってきた数( )こ』
 これに対する花咲かじいさんの答えは、
 「目ん玉を・・」
 書けません。これ以上は、親の恥というより公序良俗に反するので書けません。
丸はもらってますけど・・・。

 先日杉田先生にお会いする機会があったので、
 「本当に躾がなってなくて、下品なことばっかし
  言ってるみたいでご面倒おかけします。」
 と謝罪したら、そこはさすがに先生だけあって、あとで考えたら、阿らず、しかし、否定せず、という修辞で応対してくれました。
 「そうですね、ほかの生徒さんよりフジちゃんはまだ、幼い
  ところがあります。けど、発想のユニークさはクラスで一番
  ですよ。いつも何を言いだすのか楽しみでしょうがないです。」
 そのときは、うっかり機嫌よく帰宅してしまいましたが、今思うと、僕の言った『躾がなってなくて、下品である』っていうことは先生は打ち消されていませんよね。

 どうも心配です。

 ところで、あのよくあるソフトクリームみたいな巻きぐそうんちって『一般的』なんでしょうか?僕とフジは、『いっぽん系』なんですけど、僕ら親子の方が『排泄物における遺伝的マイノリティ-』なんでしょうか?
=====終わり=====
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へえ!

へえ、そこまでいくと無駄もたいしたもんですね!読者のひとりの女性は、このブログを読んで「モンブランが食べたくなった」と言ってくれました!たしかにあれもありえないほどみごとなまき糞系ですよね。

No title

そうなんじゃよ。あるブログなど日本以外の意識を調べるべく「まき○そ」を絵に描き、待ち行く外国人に直接インタビューしてその統計をとったりしているんじゃ。その結果「ソフトクリーム」が一番多かったんじゃが、人によっては「う○こ」という人もおり、その国際的な認知について確認されておるのじゃ。まったく暇な連中じゃのう。

しかも

ストロガノフ博士さん、しかも引用いただいたのはどなたかの「ブログ」でもんのすごい力作ですね。世のなかには、糞、しかも「まきくそ」のためだけにプレイべ―トの時間を大いに割くひともいるんですねえ。・・・まあ、僕も仕事よりブログに割くエネルギーの方がはるかに大きいのでそういう面では似たようなもんですけど。

おお、「トイレット博士」

ありましたねえ、一世を風靡した「トイレット博士」!ご指摘をうけなければ思いダさなかったかもしれません。今のマンガ喫茶なんかにはあるのかしらん?それにしても、こういう時代とはいえ、巻ぐそをググる、とはなかなかの探究心ですね。素晴らしい!

No title

いわゆる「まきぐ○」じゃな。
ググってみたら色々でてきた。
和洋双方とも1700年代ころ(日本で言う江戸中期)から既に登場していたようじゃ。
わしはマンガ「トイレット博士」のまき○そが一番印象に残っているのじゃが。。。

http://iyagerium.blog90.fc2.com/blog-entry-86.html
プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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