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みぢかえる、父かずまさ。

 人の性、とはいえ、悩みはつきません。僕も悩みに悩みました。

 なぜなら、以下の話は、『普段法螺など全く言いそうもない身近な人間が真剣に主張する、ありえない話』略して『みぢかえない話』その⑤、としたかったんです。
 このブログを継続して読んでくださっている方(ありがとうございます。)は、僕の悩みを共有していただけると思います。初めてお読みいただいた方(ありがとうございます。)、および、迂闊にアクセスしてしまった同じ会社の上層階の巨漢不動さん(おまえのブログ、読んだけど、あんまりピンとこん、などと言わず)は、なんのことやらお分かりにならないかと思いますので、できれば過去の『みぢかえない話』シリーズだけでもお読みになっていただければ幸甚です。

 先日、実家に帰ったときのことです。ごく普通に両親と、とうが立った息子との会話の最中に、それは突然出現しました。
 父親(かずまさ)が、生あくびをしながら、話題を振りました。かずまさは、よくこれで社会人としてやってこられたなあ、と思うくらいコミュニケーション能力に欠けています。

 まず、人の話を聞きません。
 それも聞いてないっていうのが露骨にわかるんです。どういうことかというと、例えば、『お父さん、各位殿っていう日本語ってどう思う?』と話しをふったときに、髪の毛の薄くなった部分を右の掌でぺたぺたと叩きながら、いきなり『なるほど』と何のアクセントも無しに答えたりするんです。そもそも『なるほど』っていうのは、通常、相手の会話に感心しました、っていうときに、つまり会話の中に起承転結があるとするならば、『結』の部分に登場すべき言葉の類です。つまり、かずまさは、話をきいてないから、会話がまだ『起』の段階なのに、いきなり『結』の範疇の語句で、その話題を強引におわらせてしまおう、とするわけです。話しに興味がないのならしょうがないけど、もっと、ほかの意思表示の仕方があると思います。
 「・・って、どう思う?」 
 「なるほど。」
 ・・・会話になってません。

 それから、これもすごいなあ、と思うんですけど、人に話をふっておいて、話題を突然変えちゃうんです。
 どういうことかというと、例えば、『おい、慧太。知ってるか、斎藤、斎藤!』『え、いや斎藤ってどのさい・・』『あいつがだな、』(この時点ですでに会話になってません。)『あいつが次のキャプテンに伝えた三つの言葉があるんだ。なんだと思う?』『キャプテン?いや、だから・・ああ、早稲田の斎藤のことか?』『早稲田の野球部のキャプテンていうのはものすごく重圧があるんだ。』(ひとりで話しをすすめてます。)『いや、だから早稲田の野球部のあの斎藤のこと?』『そこでだ。今度主将になる人間にこれは重要だ、ということを三つだけ言ったんだな。』(会話の相手いらねえじゃねえか。まあ、聞くか。)と、ここまできて、やっと僕がかずまさの思考に追いついたのに、ふと、かずまさは席をたって、1メートル先の冷蔵庫に水を取りに行きました。僕は、寡黙に、かずまさがもったいぶった、『斎藤の三つの言葉』を待っています。かずまさ、席にもどり水をごくりと飲んで、いきなり机の上にあった新聞を読み始めました。ちょっと驚きます。でも、かずまさは、こんなことで会話を終了させるような小立者ではありません。新聞を読みながらも、僕と会話をしている、という意識の残像はちゃんと残ってるんです。そして『斎藤の三つ』を待つ僕に、やおら新聞から視線をあげて、こう言いました。『大学ラグビーはどこが勝ちそうだ?ん?なに黙ってんだ?おまえラグビー好きだろ?』
 ・・・驚きます。

 そのときも、かずまさから話題を振ってきました。僕は、どうせまた途中で『自分のふった話題にすぐあきるパターンだな』などと思いつつ、びっくりしたり、いらいらしたりしないように、あらかじめ脱力しながら、相手をします。
父「最近、仕事のほうはどうだ。」
僕「うん、まあ、忙しいよ。」
父「こないだどっか行ってたな。」
僕「うん、また東南アジア方面ね。直行便だけど、
  長時間だし、エコノミークラスだから疲れるよ。」
父「おお、あれはきついよなあ。」
僕「うん、3,4時間が限界だね。ましてや、三人がけの
  真ん中に・・」
 ここで、彼の得意技のひとつ、他人の話を遮断、
父「飛行機のエコノミー、あれは、だめだ、あれは疲れる。」
僕「あれ?お父さんエコノミーでどっか・・・」
 もともと海外出張などあまりなく、あってもたいていビジネスクラスで行っている、と聞いていたかずまさから、エコノミークラスでの苦渋への予想外の共鳴を得て、僕が、少しだけ注意を惹かれて質問しようとするのを、またしてもさえぎり、かずまさは続けます。
父「あんなせまい椅子に長時間座らされてなあ。あれはきつい。
  体を大の字にのばしてたくてしょうがなくなるよなあ。」
僕「いや、まったく大の字になれればどんなに楽か・・」
父「それで、我慢できないだろ?な?そんで、我慢できないから
  通路で大の字になって寝てたんだよ、そしたら・・」
大いに、意表をつかれて、せっかくのあらかじめの脱力感がかえってあだになり、僕は混乱し始めます。
僕「え?いや、あのお父さん、通路で大の字って、
  その、あの、飛行機の通路のこと?違うでしょ?」
父は僕の質問を軽くかわして、
父「ん?おう、飛行機、飛行機。そしたら、アメリカ人のスチュ
  ワーデスが怒りやがってな。上から俺を見下ろして、こう、
  ううんと、なんだっけな、『ヘイ、ヘイ、ミスター、スタン
  ダップ、プリーズ!』だったかな、こういうふうに言われて
  なあ。」
 とスチュワーデスの身振りつきで、どんどん話を、しかし、しごく自然な様子で続けます。
僕「ええ!そんな人見たことないよ。飛行機の通路で寝たの?
  本当?うそでしょ?いつよ?」
父「ん?ほら、昔出張でアメリカ行ったろ。あんときよ。もう
  やってられんとおもってな、通路で大の字に・・」
 さすがの僕も、かずまさのお株を奪ってでも事の真意を確認したい気持ちを抑えられず、彼の話を遮ります。
僕「本当に、飛行機の通路?そんな人いないよ。」
 かずまさは、もう『アメリカ行きの飛行機の中で通路に寝た』ことの説明はとうに終えているので、僕の再確認には反応せず、別のアングルから、-全然会話としてはつながりのない返事から-、話を、平然と展開します。
父「違うんだよ。」
僕(「違うんだよ」ってなんだよ。)
父「違うんだよ、昔、学生のころ、東京から田舎に鈍行で帰
  るのに、座席がとれないだろ。でも十何時間も立ってら
  れないから、通路に寝るわけよ。それと同じで、」
(いや、飛行機と『それ』は同じじゃないんじゃ?)
 「それと同じで、通路に寝たんだよ。ところが、通路に
  寝ると、歩く人に踏まれるだろ?」
(いや、そら、まあ、通路は歩くところだから・・)
 「でも、ほかのところを踏まれるのはよしとして、
  頭を踏まれるのはかなわんから、通路に直角に
  縦じゃなくて横に寝て、」
(ええ?)
 「それで、頭を座ってる人間の足と座席の中に突っ込む
  わけよ。そしたらよく寝られるだろ?そういう経験
  があったから、」
(・・・)
 「飛行機の中でもそうやって寝たら、アメリカ人の
  スチュワーデスが、怒りやがって、いや、電車では
  な怒られたことないんだよ、寝てるの俺だけじゃな
  いしな、それで、こう、なんだっけな『ヘイ、ミス
  タ―、スタンダッププリーズ!』ってな、いやあ
  エコノミーはきつい、うん。」
 と、かずまさは平然とひとりで話題を締めくくってしまいました。

 そんな人、『あり得ません』。しかし、なぜ今回、この話が『みぢかえない話』シリーズの範疇外になったかというと、実は、今回はある属性が、『普段法螺など全く言いそうもない身近な人間が真剣に主張する、ありえない話』の条件にもとるからなんです。

 僕の繋類には法螺吹きが二人います。そのうちのひとりが他ならぬ、父みどりかずまさ、その人です。だから、今回の『飛行機の通路で通路方向に90度で大の字になって寝て、スチュワーデスに「ヘイ、ミスター・・」と怒られた』話には、十二分に意表をつかれたし、彼は平然と真剣に主張していましたが、彼が『普段法螺など全く言いそうもない人』とは言い難いので、悩みに悩んだすえ今回の題名は、『みぢかえる、父かずまさ』と、しました。もっとも、決定したとはいえ、この題名もなんのことやら訳のわからん日本語で、僕が溜飲を下げるには至ってませんけど。

 かずまさは、まがうことなき法螺吹きです。それも、『あのな、慧太、おまえは本当は橋の下から拾ってきた子供で本当はお父さんとお母さんの子供じゃないんだ。』という『親の法螺の王道』はもちろん外していないうえに、子供に対しては、『おとうさんはな、ほんとうは、あの、さんおくえんじけんのはんにんなのだ。あれは、雨のふるひだったなあ・・・・』などという『独自性にあふれる罪つくりな法螺』も吹いた前科があります。この法螺を僕は、たしか幼稚園か小学校の低学年の時に聞かされて、完全に信じてしまい、『どうしよう、ぼくはおとうさんがぬすんだお金でそだってきたんだ。どうしたらいんんだ。』と真剣に悩みました。
 また、ある時、かずまさに転勤辞令が出たときのことです。状況からごく自然に、『かずまさ単身赴任案』が、かなり強力な案として家庭内に浮上してきました。しかし、放蕩者のくせに、『電気が消えている家に帰るのが嫌い』なかずまさは、あろうまいことか、『それは、残念ながらできん。なぜなら、俺の会社は、単身赴任に年齢制限があって、俺はまだその年齢に達していないから、単身赴任はできないんである。』とありもしない会社規則をねつ造し、家族全員を欺き、単身赴任案を強引に叩きつぶしたんです。あとで、すぐ『法螺』だと露見しましたけど。
 それから、-ほかにもあるんですけど、なんだか話全体の重心がずれてきていますので、これで最後にします-、会社の人に、『俺の女房は、もとミス下関である』という寸分の根拠もない法螺をふきまくってました。しかもそういうことを家族には黙っていたので本人は『真剣に法螺をふいて』いたんですね。これはなんで露見したかと言うと、ある時、父親が会社の人と飲んだかえり、その人を家に連れてきて(こういうこともすごく頻繁で、母親はとても嫌がってました。)、ほろ酔い気分のその客人が、母親をじーっと見て、
 「おお、なああるほど!確かにお綺麗だ。これが
  高名な元ミス下関ですか!ほほう!」
 と叫んだからです。

 ええと、僕の繋類のもう一人の法螺吹きは、これがまたすごい法螺吹きで、・・・・まあ、この人の話は次の機会にします。

==========終わり==========
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いや、

いつもコメントをありがとうございます。反応を言動に出していただけるのは本当にうれしいです。確かに!私も、若かりし頃は、値段と混雑をさけて、日本の航空会社をわざわざさけて、着地の国有航空に乗って、4人がけに寝転がっては「いやあ、この気分を味わったらビジネスクラスなんぞというチョット広いだけのシートに『制限される』のはかないませんなあ」と自分に話しかけて、自分で「いやあ、そうですなあ!」などと言っておりましたので、お気持ちはようくわかります。でも『通路に』しかも『直角に寝て頭を見ず知らずの乗客の足と座席の隙間に入れるのがコツだ』って、『作るんじゃないよ』って思うんですよ。ちなみに、JALでたまたま空いているときに3人掛けに横になって寝ていたら、客室上乗務員と思しきスチュワーデスにとんとん、と起こされて『お客さま。お休みになるのはご自由ですが、シートベルトだけはしてください。』って禅問答みたいなことを言われました。座席に横になるはいいけどシートベルトはしてくださいっ・・・て、通路側のベルトを股間から上にだして、それこそ垂直に頭のほうへ引っ張って窓側の装着口にくっつけるとうプレイ、もとい、工夫でもしろ、ってことでしょうか。何やら大気圏外団鬼六の世界、になりそうだったので、もったないですが、「普通に座って」寝ました。無理っすよね。

No title

あのー嘗て出張でよく中近東にいっていたんですけど、その中近東の国のナショナルフラッグの日本行きに乗ると、通路とまではいかないんですが例えば真ん中の4人掛けの椅子の床でその国の人たちが寝るんですよ。私もビジネスがとれないときはそれに習って床で寝て、結果として通路にもはみ出したりしたものです。だからかずまささんの言っていること多分うそじゃないと思うんですよ。
プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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