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痛い!!③

 なんでみどりくんはそんなに痛いめにしょっちゅうあうの?って言う人がいるけど、知らないです。僕は、別に普通にすごしてきました。思うにみなさんも痛い思いをしているのに、忘れているだけじゃないんでしょうか?

 と、いうわけで(どういうわけだ)、『痛い!!③』です。今回は、

 *痛さ度      5位
 *衝撃度      3位
 *不可解度     1位
 *スプラッター度  1位

といったところです。

 数年まえ、僕は、とある事情で、二十数年ぶり二回目の兵庫県の西宮での生活をおくっていました(なんでおまえはそういろんなところに住んだことがあるんだ、っていう人がいますが、好んで転々としたわけじゃなくて、それぞれ理由があるんです。だから、不思議がられても困るんですけど。)。
 僕は、さる病にかかっていて仕事もすることができずに、家でぶらぶらしていました。もちろん本意じゃなかったけど、病気だからしょうがないです。そんなある朝、さい君が、自分の体調が悪くて、子供を幼稚園に私の替わりに送って行け、って言いだしました。そんなこと言ったって、俺だって病気なんだけど、と思いつつ、夫婦で体調の悪さを自慢しあっている暇もないし、しょうがないので僕が送っていくことになりました。さい君は、いつも子供にヘルメットをかぶらせて自転車ーいわゆるママチャリですねーで送っています。僕はさい君に、
 「やむをえまい。自転車の鍵を貸したまい。」
と手を差し出しました。しかし、さい君は、送って行けと言いつつ、
 「いや、だめ。タクシーでいけ。」
 と言います。
 「なんで。」
 「だって、危ないから。」
 とさい君。
 後日、僕は、さい君に、
 「ユウの第六感はたいしたものだ、あの時、ちゃん
とタクシーで行くべきでしたな。」
 と言うと、さい君は、たいそうあきれた顔をして、
「何いってんの。そういう問題ではない。だってふらふら
してたもの。」
 って言います。そうなんです。その時、僕は、飲みはじめた薬のせいで、まっすぐ歩けずにふらふらしてた、らしいです。それで、まっすぐ歩けない人間がましてや自転車なんて、とさい君は夫のことではなく、子供のことを心配してタクシーでいくことを命じたわけです。ところが僕は、自分がふらふらしている自覚がないし、そう遠くない、しかも閑散とした道をわざわざタクシーで行くことに、むしろ面倒くささを感じて、大丈夫だ、と言い張って、子供をうしろに乗せて自転車で出発しました。
 そして、幼稚園のすぐそばまで、つつがなく―結果的には。事実は危ない場面もあったのかもしれませんけど―行き着きました。僕は、子供を乗せていることもあり、特にスピードを出しすぎていたわけでもなく、ごく普通に幼稚園にむかって進んで行きました。そして、最後のT字路です。ここを左折して道なりにいくと幼稚園です。自転車はT字路にむかってまっすぐ進んでいきます。T字路の手前には幅50センチくらいのどぶが口を開けていて、その先は、コンクリートブロックの壁です。初夏の、日本晴れ、風の気持ちいい陽気でした。さあ、左折、左折と僕は思いました。思いながらT字路に近づいていきます。さあ左折左折、ここで軽くブレーキをかけてハンドルを左に切って、その結果、左折という現象が完成するわけです。僕の記憶はここで一旦切れます。

 気がついたら、僕は、アスファルトに倒れていました。前輪をどぶに食い込ませたまま横に倒れている自転車と共に。どうやら、曲がり切れずに壁に突っ込んだらしい、と気付いた僕は、はっと息子を探しました。息子は、僕から1メートルくらい離れたところで、しゃがみこんで目の焦点の定まらない顔で道路を見つめながら、ヘルメットの上から頭を掻いてます。幸い息子は全くの無傷です。自転車から放り出されたものの、どうやってか、うまく道路に軟着陸したようです。繰り返すけど、気持ちのいい初夏の朝でした。
 僕は、腑に落ちないなー今でも理屈は理解できませんけどーと思いながらも、『ブレーキをかけずにハンドルも切らずにそのまま壁に直進した』という結果を受け入れ始めました。そして、『体脂肪率30%を超えようかという肥満した小男が、慣性の法則=質量×速さ、にもとることなく、自転車のサドルから前に投げ出されて』しかも『防御の体勢すらとらずに大の字になって』壁にぶつかったこと、も推測でき始めていました。なぜなら、両方の前腕と顎が『激しく痛かった』からです。
 僕は、はて、なんでこんなことに、と思いつつも、本来の目的である子供を幼稚園までおくり届けるために、起き上がります。時を同じくして、ちょうど、お子さんを送って幼稚園から出てきたと思われる女性が、道にひっくりかえる親子と自転車をみて、一瞬無言で驚愕したあと、
 「フジちゃん!大丈夫?」
 と言ってくれました。どうやらたまたま息子と同じクラスのお子さんのお母様のようです。そして、ヘルメットの上から頭を掻きながら無言で頷いた息子の手を取ると、
 「私が送っていきます。大丈夫ですから!」
 と、その方には悪いですが、拉致せんばかりの勢いで息子の手を握ってくれました。息子はおとなしく連れていかれています。僕は、粗相があってはならん、と精いっぱいの笑顔をつくり、
 「申し訳ありません。あの失礼ですが・・・。」
 とお名前を伺おうとしました。するとその方は、まるで見てはいけないものをみてしまったー真夏に突如大雪に出会ったかのーように、僕のせっかくの笑顔をないがしろにしつつ、
 「いえ、フジちゃんのことは知ってますから、
いいですから、いいですから!!」
 とやや狼狽気味にフェードアウトして行ってしまいました。

 僕は、それから、自転車を起こして家に帰ったらしくー自分のことのくせに『らしく』というのは、その記憶もないんですー玄関をあけて、ぽかんとするさい君に、とにかく息子は無傷だから、と何度も報告しながら、保険証と診察券をもって、近くの外科医に行きました。その待ち合い室の鏡で初めて自分の姿を見ました。
 鏡には、両方の前腕が擦り傷で血だらけになり、かつ顎の先端から肉片をだらりと垂らし、そこからぼたりぼたりと血を流す肥満男の姿が。(うへえ、思ったよりひでえなあ。あんなにゆるくてもブレーキをかけないで突っ込むとこんなになっちゃうんだ。)と我ながら驚愕しました。
 そして、さらに、『日本晴れを背景に、顎から肉片をぶら下げつつ、顎と両方の前腕から流血しながら、精一杯の作り笑顔のひと、に「お名前は?」と聞かれた』女性の気持ちを思い、彼女のおののいた表情と、追い払わん、というまでの口調、の理由を理解しました。
 だって、晴れやかな朝、通りに出たら突然、
 『流血男に、作り笑顔で「お名前は?」と聞かれた』
 という状況で、
「いつも、うちの子がお世話に・・、ああ、すずらん組で
 ごいっしょのおきもとこうたの母です。いつも、フジ
 ちゃんのことはうちでもよく話題に・・・」
 なんて肝の据わった応対をする人がいたら、かえって不気味です。

 幸い、傷は、顎を六針縫うだけでした。僕の顎には今でもその傷が残っていて、子供に
 「おい、フジ、この傷、覚えてるか?」
 っていうと、えらいもので、子供は、にこにこしながら、大の字になってジャンプして見せます。でも、なんであの時、視界でとらえていることと、頭で考えていることが一致してるのに、体だけ動かなかったのか、不可解でしょうがないです。
 どうもいまだにわかんないです。
 ブレーキは早めにかけましょう。

=====終わり========

 
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Re: No title

いや、あのかわいいじゃなくて、ノーガードで大の字でぶつかったんですけど。。けいた

No title

フジくん無傷でよかったのう。
大の字ジャンプがかわいいのう。
プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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