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痛い!!②

 『事実に目をそむけたい時』という時が僕は、しばしばあります。いや、そういうことの方が多かったりします。
 思春期には『考えてることの95%がエッチなこと』という事実に目をつぶっていました。現日常においても頻繁に事実から目をそむけてます。今、僕は、相対的に、いえ、『絶対的に』、出世の遅れた会社員です(そういうことはなぜか敢然と直視してます)。会社員ならよくある風景ですが、先日、エレベーターの中で10数年ぶりに特に昵魂でもないが、確実にお互いに知っている、という同期と一緒になりましたけど、その事実に目をそむけて、挨拶をしませんでした。それから、そもそも論として『実はいま勤務している会社にむいていない』という事実からも目をそむけ続けているらしい、です。僕の兄のしょうごろうは、『結構な中年ぶとり』であることに目をつぶって、休日タンクトップで電車に乗るので一家総意で気持ち悪がられていますが、意に介しません。
 今回の『痛い!!②』はそういうことの連続といってもいい話しです。尚、尾籠な話ですので、お食事中の方はあとで読んでいただいたほうがいいです。それから、この話しをすると、まわりの何人かから―特に女性が―「みどりちゃん、そんなに大声で話してるけど恥ずかしくないの?」って言われますが、それは逆に蹂躙というもので、なんで恥ずかしく思わなければいけないのか、全然理解できません。

 本件は、僕の人生の中では、

 *痛さ度   3位
 *衝撃度   3位
 *現実無視度 1位
 *不愉快度  2位

といったところです。

 10数年まえ、あるときから、大便がなんだかいつも細くなっているのに気付きました。従来、僕は、しばしば自分の収穫物にみとれて『う~~ん、太さといい、連続性といい、密度といい、流すのがもったいない』と思うことが頻繁にあるくらい『快便な男』、でした。しかし、その頃は、毎日出るものの、初心者の打ったうどんみたいに、太さも頼りなく、ぶつ切りで連続性に欠け、密度もばらけていて、収穫物がその主人を満足させることには程遠い、という日々が続きました。もちろん、そのことが何かの病気の前兆であろうという線香花火のような小さな不安には目をそむけていました。ところが、一向に改善されないばかりか、臭いまでもおかしくなってきました。『へい、いつものやつ』っていう感じの主人には違和感がなく他人様にはそれなりに迷惑な、という臭気ではなく、主人にもなにやら不可解な臭いになってきました。もちろん、僕は『トイレより外の人生の多忙さ』―携わっている仕事上のプロジェクトでの多忙さ、合コンという頻繁にある夜のプロジェクトでの多忙さ、プロジェクト社内恋愛での多忙さ―を理由にその事実には目をそむけてました。
 そういう日々が続くうちに、なんだか、出口付近に違和感を感じ、すでにお馴染みになった『うどん』排出のあと、その感じた部分を触ってみるとなにやら腫れています。蚊にさされたあとに『+』をつけたくなるように『腫れてると押したくなる』のが人情というものでしょう。押しました。すると『ぺしょん。』と情けない音がしたと思うと、なにやら膿み状の悪臭を放つものが手につきました。
 「・・・・・?」
 と個室で思考停止する、しがない会社員。この時点で、すでに、視覚、嗅覚、触感で異常を認知しているはずの僕は、しかし、またもトイレの中での人生には目をつぶっていました。が、事実は事実です。しかもその『腫れ』は日増しに大きくなり、今や普段でも痛むまでになって、椅子に座っているときなど『ゴルフボールの上にすわっているような感触』を常に意識せざるをえない状態にまでなっていました。そうです。事実はとうとう僕の『トイレの外の人生』においても姿を現していたのです。いま思うと、ここはひとつのポイントでした。でも、結局、目をつぶります。あいかわらず、仕事上のプロジェクトではいかに仕事をしているように見せるか苦労し、合コンプロジェクトでは、ビールをがぶがぶ飲みながら敵チームを物色するのに腐心し、プロジェクト社内恋愛では、狙いをさだめてデートに誘ったが断られたやりとりのメール、を上司に熟読されて、その言い訳に奔走し、と多忙さを理由に(ぜ~~んぶ実を結んでませんでしたが)、事実に目をそむけつづけました。けれども、腫れと痛みは激しさを増し、トイレ外での僕の人生の邪魔になってきたため、とうとう僕は―なんだってあんなものが家にあったのか今でも不思議ですが―母親が通販で買ったと思われる『ムートンのドーナツ座布団二個セット』のうちのひとつを地味な座布団カバーにいれて、会社の椅子に置くようになりました。しかし、痛みはますます激しくなり、ついに、その『ムートンのドーナツ座布団』をもって営業にもでかけるようになり、お客さんに毎回笑われる、という招かれざる事態にまで逼迫していきました。
 そこへ、とどめの海外出張がふってきて、僕は取引先の社長様とムートンとつかず離れず、で海外にいきました。その出張中、痛みは頂点に達し、僕もついに観念し、
 「これはどうみても病気だなあ。」
 と、ガリレオへのローマ法王の名誉回復か、僕の病気への事実認定か、というくらい遅きに失したとは思いつつも、降参しました。そして、彼の地から、課長へ、土日に日本へ予定通り帰国するが、月曜日は病院へ行ってから出社します、と承認を乞い、きわめてご機嫌悪く課長からは許しをもらいました。そして、飛行機の中で悶絶しつつ帰国、家では兄しょうごろうに爆笑されつつも(ひどい男ですよね)ご飯とトイレ以外は下半身を上向きにして壁にもたれさせかけ―うっ血すると患部が痛いので―て、もう事実を認めたからには、月曜を恋焦がれて壁に貼りついて週末をすごしました。そして月曜の早朝、逆立ち世界から暫時現実の世界にもどり、自宅近くの『大きくて有名な総合病院』に駆け込みました。はたして、医者は、軽く、
 「ああ、こりゃ切ろう。今日入院できる?肛門周囲膿瘍だな。」
 と言われました。そもそも忙しいだけで俺なんかいなくてもいいのに、とひそかに、しかし確実に認識していた僕は、プロジェクト社内恋愛のことだけが一瞬頭をよぎっただけで、
 「できます!!」
 と即答し、会社へ連絡しました。
 「いまから入院して明日手術です。」
 と報告したら、
 「そんなに悪かったのか、たいへんだっただろう。」
 と課長の態度も豹変し、僕は『入院』だの『手術』だのという言葉の威力を知りました。翌日、手術です。手術前の説明らしい説明も特になく、
 「患部に膿がたまってるからそれを取り出す手術すっからさ。」
 って言われたくらいです。僕もなにしろ『有名な総合病院』なので信頼しきってて何も恐れてませんでした。とにかく、手術すればこの痛みから解放される、という希望に、ただすがっておりました。
 「下半身麻酔すっから。」
 って言われたときはもうすでに全裸で、
 「へえ、全身麻酔じゃないんだ。」
 って思ったくらいで特に何も感じませんでした。
「え、と、えび、みたいに丸くなって。そうそう。動くと危ないからちょっとおさえるからね。」
 と全裸でえびみたいに背中をつき出した僕の手足と頭を看護士さんが、かなりの力でおさえつけます。なにごとならんと思っているまもなく、背中に、唐突に、もんの凄い激痛が!!そう、これが脊髄麻酔注射ってやつなんですよね。これが痛い!!しかもその『有名な総合病院』のお医者さんは、
 「ほろ?、間違えた。も一回ね。」
 ええ~~~~!もはや、一回痛さを知ってしまっている僕は、悲壮な覚悟をしました。どうりで体の両端をおさえるわけです。痛さと大事なところへの刺激で体が意に反してびくんと反応しては危ないんですね。で、2回目。痛い~~~~~~~!! そのあと、表現のしようのない気持ち悪い鈍い痛さが下半身全体にひろがって、やがて、麻痺していきました。手術中は、痛さもなにもなく、終了しました。
 その後も数日入院しました。その間、シャワーや風呂などはなし、患部のケアも自分でトイレのウオシュレットで、ということだったんですが、初めてトイレにいったとき、当時まだウオシュレットの強弱が調整できることを知らなかった僕は、いきなり『強MAX』を患部に放射し、その激痛に驚愕し、
 「ぎえ~~~!!」
 という大音声、と『MAXの勢いのまま放射しっぱなしのウオシュレット』による大量の水、とで病院のトイレを満たしてしまいました。
 そんな入院中のある日、近くに住む叔母が見舞いにきてくれて、いろいろと差し入れてくれた中に『週刊朝日』がありました。今でもあるのかどうか知りませんが、その頃『週刊朝日』には『現代の名医』というコーナーがあり、病気ごとに絞って、その病気に関してはここへ行くべし、と個別に断定し、その病院へのインタビューや所在地、連絡場所、病気の説明、などを載せている見開き2ページくらいのコーナーだったと思います。無聊にまかせてページをめくっていた僕は、驚天動地の記事にでくわし、その奇縁にたまげました。なんと、その週の『現代の名医』のコーナーは、『肛門周囲膿瘍』ではないですか!! そうです。『痔』でもなく『肛門系』でもなく、そのものずばり、まがうことなき、コーモン・シューイ・ノーヨー、なんです! 読みますよね?それが人情ってもんでしょう。そしてその記事の内容はまるで、僕に語りかけているかのようです。
 曰く、『この病気ははじめは膿や血をともなった便がではじめ・・』僕は読むたびに自分の鼻を自分で指差し、
 「俺そうだよな。」
 と目を進めます。『そのうち、患部がおおきく腫れはじめ激しい痛みをともないます。』・・・・確かに。『これは、大腸の内壁がストレスなどなんらかの原因で化膿し、この膿が出ていくところがないために肛門のほうではなく、大腸の壁を侵食して皮膚の表面まで到達し、出口がないためにその到達部分が次第に腫れてくるためです』おお、なんと明快な解説!『従って、根治には、膿の出発点である大腸の内側部分を除去しなければなりません』????な、なんですかあ、それ?『この病気でよくあるパターンは、肛門周囲膿瘍から手術を経て痔ろうになるケースです。つまり、痛さにこらえられず専門性のうすい、近くの外科医あるいは総合病院に駆け込み、』おれ??『膿の出口である患部の膿を取り出す手術をしてしまうことです。』先ほどから指差したまま硬直する入院患者。『そうすると、一時的には膿も痛みも腫れもなくなります』じゃあ、いいじゃん。『しかし、原因である大腸の内壁の膿は出続けますので、いわば、膿にとっては先ほどの手術によって【トンネルの出口を得た】という状態になり、術後しばらくすると膿がこの入り口から、手術でつくられた出口に慢性的に出始めます。これを『痔ろう』といいます。治すには、出口だけではなく、一度に膿の出所とトンネル部分を全て切除すること、が必要です』
 ・・・・・・・・・。う・・・・・・。僕は、一字一句が自分にあてはまっていることに恐怖さえ覚え、
 「もう一回手術って、あのイタイイタイ麻酔をやるのか・・・?」
 と受験に失敗した直後の受験生のごとく目は宙を舞い、思考は停止してしまいました。そこでだした僕の結論は、そうです、
 「こんな偶然はできすぎている、読まなかったことにしよう。」
であります。できすぎているから無視って、根拠になっているんだかなっていないんだかわかんないですが。
 それから、何日かして、退院後、僕は再び普段の生活に戻り、今回の手術話を自虐的に話したりしながら、また公私共にプロジェクトの毎日に埋もれていきました。ところが、好事魔多し、悪夢再び。ある日、トイレで収穫物を『現認』したところ、忘れていた嫌なあの臭いが・・・。無視。しかし、現実は、まるであの『週刊朝日』がシナリオであるかのように忠実に『現代の名医』の言うとおり進んでいきます。そして、無視できない膿みと痛みがふたたびあらわれ、僕は、くだんの近所の『有名で大きな総合病院』にいきました。
 「ああ、これは飲み薬で治そう。」
 などという週刊朝日のシナリオを覆すような乾坤一擲の一言を期待していった僕でしたが、あにはからんや医者はこう言いました。
 「ああ、こりゃあ、もう一回切らなきゃだめだな。
痔ろうになっちゃたな。」
 なっちゃたなって、脊髄麻酔注射の痛みを思い出し、おもわず、
 「ええええ!」
 と言った僕に医者が返答した答えが僕をついに現実に目をあてさせるきっかけになりました。すなわち、その『近所の有名な総合病院』の医者はこう言ったのです。
 「前回のはあんなもなあ、手術のうちになんか
  はいらないよ。」

 そして、帰宅した僕は、とっておいた『週刊朝日』(このへんが僕のずるさの面目躍如たるところで、無視しているくせに、本は捨てていません。)を、男子中学生がエロ本と二人きりになったかのように荒々しくめくり、幸いにも電車で30分の距離にあった、その記事中の『現代の名医』をたずねていきました。結論からいうと、素晴らしかったです。手術前のオリエンテーション(ちゃんとビデオがあって、順番や何をするかを見せてくれます。しかも看護士さんつきのビデオ鑑賞なので質問もできます)、術後のケア(患部を洗う洗面器状の専用器具があり、これを洋式トイレにセットすることで、お湯がゆっくりと丸く流れながら患部を洗ってくれます)、シャワー(2日に一回)、そしてなにより僕が一番おののいていた、脊髄麻酔注射がとても、とても、とても上手で、もちろん一回ですんなりいきましたし、痛みの程度も違いました。
 その後、まったく再発はしてません。ただ、
 「かなり深かったので大きく切りましたよ。」
 と言われたように、僕のお尻には肛門以外にもう一箇所、いまでも凹んでいる部分があります。

 『事実から目をそらす』のも考え物ですね。
でも『いまの仕事にむいてないこと』に向き合うのはちょっと伸ばそうと思います。

 え、と、そうそう、原因はストレスであって、お尻が不潔だったからなどというわけではない、し、別に人様に後ろ指さされるようなことをしたわけではないので、『みどりちゃんの恥知らず』発言をした、僕の入社年次ひとつうえの、法務部の高村さん(女性)は猛省してください。
 それから、『週刊朝日』さん、ありがとうございました。
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ありがとうございます。

中央線特快様
過去ログも含めておよみいただいたうえにコメントまでいただき、まことにありがとうございます。中央線特快様もご経験があるやのようにおみうけしますが、やっぱりもちはもちやですよね。金属バットの件、私の衝撃度に共鳴いただいたようで、たいへんうれしいです。これからもお暇なときにお読みください。かさねて御礼申しあげます。

No title

ほんとヤブ医者にあたっちゃったときの不運さったらない。
きちんと評判が良い客にいかなきゃ。

それにしても痛さ度、衝撃度、不愉快度でまだまだ上のエピソードがあるとのことゆえそちらのほうが楽しみです。年末にランキング大賞やってみどりさんの評価とみんなの評価を比較しましょう。

ちなみにわたしの中で今のところ記事中の衝撃度No.1はしりとり中の息子の金属バット事件、です。
プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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