スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

盲腸。

 僕の息子は、一応子供部屋をあてがわれているし、我が家にとっては安からぬ勉強机まで買ってもらっているくせに、いつもリビングで宿題をしています。普通は、リビングなんて邪魔が多くてお勉強には集中できないと思うんです。でも彼はそれでなくても元来が落ち着きのない性格なのに、周りに人がいないところでは勉強ができないとみえて、いつも食卓でノートを広げています。
 じゃあ、そういう環境下ならすごく集中力を発揮するのか、というと、これが全然で、しょっちゅう自分から周りの人間に話しかけたり、机から離れてうろうろしたり、しています。
 僕は、何度も、
 「宿題をするときは、自分の部屋の自分の机でやれ。」
 て言うんですけど、どうもうまくいきません。

 その日もいつものように彼は食卓で宿題をしていました。僕は、食卓近くのソファに寝そべっていました。
 と、それまで珍しく黙って宿題をしていた息子が、視線はノートに向けたまま、突然言いました。
 「パパ、にんげんのからだのなかで、やくにたたないもの、ってなんだと思う?」
 ああ、面倒くさいなあ、だいたい今そんなこと関係ないだろ、と思いつつ僕は適当に返答します。
 「盲腸じゃないか。」
 すると、僕のほうを一瞥もせずに、息子は言いました。
 「もうちょう、は役にたっているんだって。じゅくの先生がいってた。」
 ううむ、そうなんだよなあ・・わかっていたけど、そう来たか。大人としては妥当なところを言ったつもりだったけど、これは一昔まえの常識らしくて、どうも最近では盲腸もそれなりに役にたっているというのが常識らしいんですよね、真偽の程は定かではないですけど。
 知っておったか。面倒くさいな。
 「うん、そうか。」
 「ほかには?なにがやくにたたないと思う?」
 なんだろうなあ、あんまり思いつかないし、ちょっと疲れてるし、深く関わりたくない気分なんだけど。
 「うん、なにかなあ・・・」
 それより、宿題に集中しろよ、と僕は、やや、いや、かなり、お座なりに対応します。
 すると、息子がさらりと言いました。
 「セイツウは?」
 え!?僕は、反射的にがばりと半身を起こし、なにか聞き違いでもあったのか、と息子のほうを凝視しました。
 今、確か、せいつう、って言ったよな???息子は、依然としてノートから視線を逸らさず、鉛筆を動かしています。
 セイツウ、せいつう・・・・精通・・・。何度反芻しても僕が、『人間の体に関しての名称として』思い浮かぶ『せいつう』は『精通』しかありません。
 ええと、俺って今、『息子から、精通って言われた父親』なのかな・・・??
 僕は、心中大いに動揺するも、できるだけ平静を装いつつ、聞き返しました。だって、そのまま看過しがたい発言に思われたからです。
 「ええ、おい、フジ、今何ていった?」
 すると、息子は、即答しました。
 「せいつう。」
 ・・・やっぱり、聞き間違いじゃないな。たしかに『せいつう』って言ってる・・・・。続けて僕は再び平静を装いながら聞き返しました。
 「・・・それって、何だ?なんでそんな言葉知ってる?」
 息子は、従前と同じように淡々と返答します。
 「うん、こないだ学校で習った。」
 ほう、性教育ってやつか・・・。僕は少し安心しながらも、はて、我々の時代に比べてちょっと時期が早いような、それに、学校で習ったからといって、そんなこと家庭での話題、それも宿題中の無聊つぶしにするかな、普通はちょっと恥ずかしいものなんじゃ・・・といろいろと考え込んでしまいました。
 と、息子は、そういう父親の心境を知ってか知らずか、さらに視線を机にむけたまま、またしても淡々と、こう続けました。

 「せいつう、ってね、ちゅうがくせいになったら、ちんこの先から『しろいスライム』みたいなものが出てくるんだって。」
 「!!」

 唖然とする僕に視線すら投げずに、息子はさらに続けます。
 「意味ないよね?」
 「・・・・・」
 「パパもちゅうがくせいのとき、でてきたんでしょ?」
 「え??いや・・・う、うん、そ、そうかな。」
 「そんなの、やくにたたないよねえ??」
 「へ・・・?」

 ・・いや、意味ないって・・・・そういうわけじゃないんだけど・・・。
 僕は、戸惑いつつも、一方で息子がなんだか、怪しげな媒体や猥談などからそういう知識を得たのでないことには、少し安心しました。けど、こういう結果というのは『性教育の成果として奏功している』といえるんでしょうか?
 だって、息子は、『中学校に進学して、詰襟の制服を着て、生徒手帳をもつ身なんぞになったら、あら不思議、男性器の先から、ポンっとしろいスライムみたいなものがでてきます。以上。』って思っている様子なんですよね。

 こうやって、今ブログを書いている僕の目の前でも、宿題中のはずの息子は甚だ注意散漫な様子で、
 「パパ、見て見て、ぎりぎりセーフ!」
 なんて言いながら、たまたまそばにあった、『ニッパーの持ち手側で、おちんちんを挟んでみて、ぎりぎりのところで挟み切れない』ことを披露して得意満面です。

 ・・・ま、今のところは、こんな感じで良しとしますか・・・。
===終わり===
 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
フリーエリア
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村
フリーエリア
フリーエリア

人気ブログランキングへ
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。