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光陰矢の如し。

 Time flies like an arrow.
 光陰矢の如し。
 むすこにいんもうがはえました。

 先日、部屋でくつろいでいたら、唐突にトイレから、息子の咆哮が聞こえてきました。

 「パパっ!!たいへんだああ!」
 「え?」
 「すぐ来て!早く!!」

 僕は、息子ももう中学生だし、トイレからほかならぬ男親を呼び立てるとは、なにごとならん、もしや・・・と、咄嗟に『いろいろな思いや覚悟』を胸に、シリアスに立ち上がりました。
 「早く、早くこっち来て!」
 「どうしたっ!?」
 僕がトイレに向かいながら緊迫しつつ叫ぶように尋ねると、息子は我慢しかねたか、僕の到達を待たずに報告しました。

 「かつおぶしがうんちにそのままでてる!!」

 申し訳ないが、僕にだっていろいろあります。
 それは息子から見たら、いつもいつも、所在無げにごろごろしているだけの、こぎちゃない中年かもしれないけど、父親にだって考えなきゃいけないこととか、対処しなければいけない公私にわたる問題とか、あるんです。あんたも、そのうちわかると思います。すまんことですが、いかな息子とはいえ、ご自分の排泄物の上で、ほかほかと煽られて、ふらふらとニョロニョロの如しに踊る、鰹節につきあってる暇はないです。

 阿呆らしい。

 僕は踵を返すと、息子の大発見を拝見することなく、部屋に戻りました。
 もっと他に興味が喚起させられることないのか、この男は、全く。
  最前の覚悟と比べて、結果のあまりのしょうもなさに気が抜けると同時に、彼はまだ勘違いしているな、と僕は鬱々となりました。
 なんとなれば、僕は息子の『友達』じゃないんです。憚りながら、その経験浅からぬ父親です。それなのに、彼が自分の収穫物に驚いて、咄嗟に他ならぬ母親ではなく、僕を呼びつけたのは、『踊る鰹節発見』をパパなら自分と同じ感動を持って迎えてくれるはず、と思いこんでいる、と推測されたからです。
 ありゃまあ、こいつまだ子供だなあ。

 ところがです。
 それは、僕にとって全く、意外なきっかけからでした。

 ある日、のどかな家族の会話中のこと、
 「あのさうちの子は、もう、いんもうがはえてる、ってしってる?」
 と、さいくんがなんの脈略もなく、大暴露を為しました。
 「・・・え?」
 本当なの?とか、もう長く一緒に入浴もしていないはずなのに、何故さいくんは知ってるんだ?とか、そういうのは、普通は、なんか前振りがあってからでは・・・と複数の理由から僕は呆然としました。
 すると、さいくんは、さらなる暴挙に出ました。
 「ほら」
 と軽く言うと、その時、ちょうど僕とさいくんの間に仰向けに寝転がって携帯ゲーム機で遊ぶことに熱中していた、息子のズボンと下着を一気に、強引にずり下ろしました。
 息子の股間が露わになり、さいくんが指さします。

 本当だ!!

 数えられるくらいの僅かな本数の、数ミリの毛達が、背の低いニョロニョロの如しにさわさわと、しかし確かにあるではないですか!
 「おおおお!」
 「ね?」
 おい、あんたなんてことをするんだ、というさいくんの行為への驚きも、息子の股間の、その雄弁な事実が追いやってしまい、かくて我が家では父親と母親が、ゲームをする我が子の股間に左右から顔を近づけて『息子の陰毛発見』、-なにしろ、まだ黒々としているわけでないので、近くに行かないと見えないんです。-、という異様な光景が展開されました。
 息子は、その時、
 「やめてよー」
 と、-しかしあからさまに緊張感に欠ける口調で-、『息子の陰毛発見』を拒んでいましたが、仕掛中のゲームの方が大事と見えて、両手はゲーム機を握ったまま、視線もゲーム機に向けたまま、でむなしく腰をくねらせるだけでした。
 僕は、驚きと共に、再び、なんだこいつは、下半身をのぞかれることより、今やっているゲームの状況を維持することのほうが大事だっていうのか、と呆れました。
 ふうむ、ともかくも、知らぬ間に我が子も確実に『思春期』という時期にさしかかってきたんだなあ、これは、あっという間に心も大人になってしまい、踊る鰹節に驚くような言動も早晩なくなっていくに違いないです。
 父親としては深い感慨に浸ります。

 ・・あれ、そういえば、今日は、さっきから息子の姿をみかけないぞ?
 「あ、おとうさん?うん、いま、いないよ。」
 ちょうど、僕の父から電話があり、孫を探しているようで、さいくんが片言の日本語で対応しています。
 そうか、あいつ、家にいないのか。
 「うん、でかけた、こーえんいったよ・・ううん、ちがう、ひとり。・・かえるの、たべものさがすって。」
 その股間に陰毛をしたためもって、蛙の餌探しに公園へっ、て・・なんかやっぱり幼稚です。。
 こういうメンタルとフィジカルのアンバランスな同居こそが思春期っていうものなのかしらん。

 いずれにせよ、時間は静かに、しかし確実に息子を大人にしていくんですね。

 Time flies like an arrow.  
 光陰矢の如し。
 むすこの陰もうニョロニョロの如し。

 筆者が色々なところに、しらがをしたためているのも宜なるかな、ってところです。


===終わり===

 
 
 
 
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プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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