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閏年。

 僕には『人としてどうかと思われる癖や習慣』が何個もありますけど、そのうちのひとつで、最近妙に熱いのは『夜中におきてどか食いをする』というものです。
 願わくば撲滅したい習慣です。

 なぜか毎晩のように、夜中の3時か4時くらいに起きてしまい、それでトイレにでも行っておとなしくもう一度寝ればいいんですけど、これがどうもそううまくいかないんですね。猛烈な空腹を感じて、半分覚醒していない状態のままで、ソファに寝転がってジャンクフードなどをどか食いしちゃうんです。これがまたどうもものすごい快感を伴うみたいで、毎晩『今日はやめよう』と思っても抑えが効かずに同じことを続けてしまっています。
 それで、じゃあ夜中に起きてどか食いをしたら何かいいことがあるのか、というとこれは経験されている方にはお分かりと思いますが、見事になあんにも、ありません。だいたいが食べたらまたそのまま寝てしまうので、体重増加の原因にもなるし、そもそも、頭とは反対にどか食いしたときから内臓は仕事を始めちゃうので、最終的に朝会社に行くために起きたときの体調は、甚だしく好ましいものではありません。
 なんだか胃がもたれて、妙な疲労感があって、寝起きが全然すっきりしません。

 ある朝、会社に行くために7時ごろ目覚めると、例によってその数時間前のどか食いのせいで、気分は最悪でした。
 ところで、僕があまた持ち合わせている『人としてどうかと思われる癖や習慣』のひとつに『すぐ大仰に弱音を吐く』というのがあります。これも是非撲滅したいです。
 でもなかなか撲滅できません。
 その朝も、どか食いからくる気分の悪さと自戒の念から、
 「ああ・・ちくしょう・・もう駄目だああっ!」
 と寝起きざま寝床でたいそうネガティブに叫んでしまいました。
 すると、だしぬけにです。ああいうのをまさに間髪を入れず、と言うんでしょう、いきなり、
 「駄目じゃなあいっ!」
 と高圧的に大きな声で喝破されてしまいました。僕は一瞬呆然としました。
 一体全体どこの誰が、こんな素早いポジティブな反応を・・・?
 僕の出した結論は、ははん、さては俺はまだ半分寝ていて、実際に叫んではみたものの、夢の中で、誰かに恫喝されたな、というものでした。
 いや、いかんいかん、ちゃんと起きなければと、確認と自分への叱責を兼ねて、僕はもう一度、
 「もう、駄目だああっ!」
 と叫んでみました。
 するとどうでしょう、今回はあきらかにうつつのなかで、叫んだという確信があったのに、これまた条件反射のような早さで、
 「駄目じゃなあいっ!」
 と再び後ろ向きな言動を啓蒙するかのように一喝されたんです。
 僕は、あれ?と思いあたりを見渡してみましたが、そこには同じ布団でまだ寝ているさい君と、テレビの子供向け早朝番組を見ながらにこにこしている9歳の息子(この男はもう9歳なのに、いまだにひとりで寝ることを拒んで川の字の真ん中になって僕ら夫婦の間に寝ています。)しかいません。
 あれ・・・?まさか・・・。僕は信じられませんでしたが、この人しかいないな、と思い、息子に、
 「・・・駄目、じゃないか?」
 と、面と向かって尋ねると、あにはからんや、
 「パパ、駄目じゃないよ!」
 と、にこにこしながら彼が返答しました。

 そうだったんです、僕と僕の発言を間髪も入れずに朝からポジティブに喝破したのは愚息だったのです。
 こいつ、いつのまにこんな大人びた言動を、しかも朝の寝床などという頭の働かない状況で・・・・・。
 うん、でも、そう言われてみると、そうだな、夜中にどか食いしたくらいで、『もう駄目だ』なんて絶望して言ったりしては、ばちが当たるよな・・・。
 今回は息子に教えられました。

 ただし、こういう大人びたことを言いつつ、一方で、
 「パパ、ことしって、たしかうしみつどきだったよね。」
 と真剣に『閏年』のことを言い間違えたりするのが、この男の真骨頂、なんですけどね。

===終わり===
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日本語教室。

 さい君がまた日本語のレッスンに通い始めました。

 今度のクラスには、アメリカ人、ヴェトナム人、インドネシア人、中国人、ポーランド人、タイ人、ルーマニア人などが生徒としています。さい君の話では、今回のクラスは生徒の殆どが日本での滞在の日浅く、さい君の言葉を借りると『私が一番日本語がうまいくらい』だそうです。そうはいっても全員が英語ができるわけでもないのでやはり、共通のコミュニケーションツールは勢い日本語になるわけです。

 先日、さい君がタイから来た女性生徒に名前を尋ねました。
「アア、アナタノ、オナマエワ、ナンデスカ?」
「アア、ワタシノナマエワ、アオイ、デス。」
本名が『アオイ』さん、なのか、日本人であるご主人の姓を名乗られたのか、定かではありませんが、アオイさんはそう返答されました。そこでさい君は、
「オオ、アオイ、デスカ?『アオイソラ』、ノ『アオイ』デスネ。」
 と応対しました。
 アオイさんは一瞬ぽかんとして訳がわかんなかったようなので、さい君は、大仰に上を見上げなら両手を大きくかざして、『アオイ』を強調しながら再度言いました。
「アオーイ、ソラ!ノ、アオイデスネ。アオーイソラ!」
 すると、タイ人のアオイさんはようやくわかったようで、
「・・ア、ソウデス。アオーイ、ソラ、ノ、アオイデス」
 とさい君と同じように上を仰いで両手を広げて言いました。それで、ひとしきり、相対したふたりが、同じような仕草をしながら、

アオイさん 「アオーイ、ソラ!」
さい君   「アオーイ、ソラ!」
アオイさん 「アハハ、アオーイ、ソラ!」
さい君   「アハハ、アオーイ、ソラ!」

 と、にこにこしつつ確認しあったそうです。

 さらに後日授業が終わると、シュウリンさんという、さい君とはすでに顔見知りになっている中国人の女性が、アオイさんのところに紙と筆記用具をもって、
 「アア・・アナタノ、オナマエワ、ナンデスカ?」
 と尋ねにいきました。そこでアオイさんは、ここぞとばかりに、両腕を大きく広げて、
 「ワタシノナマエワ、アオイ、デス、アオーイ、ソラ!ノ、アオイ!」
 とやりました。
 しかし、シュウリンさんにはうまく伝わらなくて、また
 「エ?アア、アナタノ、オナマエワ、ナンデスカ?」
 と聞きます。それで、

 シュウリンさん 「アア、アナタノオナマエワナンデスカ?」
 アオイさん   「ワタシノナマエワ、アオイデス、アオーイ、ソラ!ノ、アオイデスネ!」

 という会話がなんども繰り返されました。さい君は少し離れたところでこの顛末を見ていましたが、そのうちに、一所懸命に名前を伺うシュウリンさんに対して、今や、両腕を振り回しながら『アオーイ、ソラ!』を連発するアオイさんと目が合ったそうです。そしたらアオイさんが両腕を全開しながら、あなたに教えてもらったやり方で、自己紹介をしていますよ、といわんばかりにさい君に笑いかけました。さい君も好意をもって笑い返したそうです。

 アオイさん 「ワタシノ・・アオーイ、ソラ!ノ、アオイ・・アハハハ!」
 さい君   「アハハハハ!」

 しばらくその会話が繰り返された後、ようやく事態を察したのか、シュウリンさんも一緒に笑い始めました。こうして上を見て両腕を何度もぐるんぐるんぶん回すアオイさんを中心に、

 アオイさん   「アオーイ、ソラ!ノ、アオイ・・アハハ!」
 さい君     「アハハハ!」
 シュウリンさん 「アハハハ!」

 という三カ国間での国際交流が成り立ったわけです。こういうのは微笑ましくて、いいです。ええと、本人たちは真剣だし、もちろん、逆の立場にたったら僕らも外国語を話すときにはいろいろやらかしているでしょうから、これは、無知を笑おう、というものではないです。純粋に、言葉ではなくて、こういうツールが限られた中でのコミュニケーションって、『国境』なんてものは微塵も感じられなくて、なんだか、たいへん、結構です。

 ちなみにこの会話は、下記のように続いたそうです。

 アオイさん   「アオーイ、ソラ、ノ、アオイ!アハハ!アオーイ、ソラ!」
 さい君     「アハハハ!」
 シュウリンさん 「アハハハ!」
 アオイさん   「アオーイ、ソラ!アハハ!」
 さい君     「アハハ!」
 シュウリンさん 「アハハ!・・エ、アナタノ、オナマエワ、ナンデスカ?」

 ・・・シュウリンさんは、なんでアオイさんとさい君が笑い合っているのか、はもちろん、アオイさんの言っていることも皆目わからずに、『なんだかおかしいから取り合えず一緒に笑っていた』んですね。
 これはこれで、また、悪くない話であります。

===終わり===
プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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