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男所帯2。

 息子は、もの凄くがさつ者です。
 もちろん、親としてそれでいいなどとは思っていませんが、何度言っても、靴さえ揃えられません。
 お恥ずかしい限りです。

 さい君が母国に帰省中で、息子との男所帯が続く我が家で、先週の水曜日に、こういうことがありました。
 
 僕が帰宅すると、がさつな息子は、脱ぎっぱなしの制服を床に放置してゲームなんぞに熱心にいそしんでいます。
 「やれやれ・・・。」
 心が殺伐とする風景じゃないですか。
 父親は、制服をハンガーに掛けようと、床から拾い上げました。
 自身が見るに堪えない、ということもあります。しかし、もっというとハンガーに掛けろ、と何度命令してもその場凌ぎで全然効果がない息子に、自覚を持たせるために、僕は敢えて彼の目の前で、制服を拾いあげたんです。
 父親にやらせて恥ずかしいと思わんのか!?

 「パパ!」

 早速、反応がありました。
 おお、さしもの息子も恐縮したな。

 「ちょっと!分離させないでよ!」

 その言には、あろうまいことか、怒気さえ含まれています。

 君はいったい、なにを言ってるんだね。

 だいたい、普通は、フジがやるからいいよ、だろう。百歩譲って、ありがとうパパ、じゃないのか。それに何のことだ、俺は制服をハンガーに掛けようとしてるだけで、その行動には『分離』とか『独立』とか、そういう政治的なメッセージなんぞは、込められてないぞ・・・。
 事実と息子の言い分はこうです。

 さすが、わが息子、彼はただ単に制服を脱いで床に放置する、などという凡庸な男ではなかったのであります。すなわち、この中学生は、下着、ワイシャツ、カーディガン、を一気に、それらのボタンをひとつも外すことなしに、脱ぎ捨てていたわけです。
 有り様は、『脱皮』です。
 僕は、下着は洗濯機へ、ワイシャツはクリーニング行きかな、カーディガンはハンガーに・・、とその脱皮した抜け殻を彼の目の前で分けようとしました。当然です。それを見た彼がその父を『分離派』と見做し、強く非難した、ということなんです。
 でも、なんでいけないんだろう?
 理解に苦しむ僕がさらに会話を重ねると、新たに驚愕の、といいますか、残念な事実が判明しました。
 なんと息子は、下校時に上述の『脱皮行為』を行うだけではなく、朝登校するとき(いつも僕が出社するときには、彼はまだ布団の中です。)、その抜け殻をなんとそのまんま、すっぽりと、-まるで『レイヤードTシャツ』であるかのように-、一気に装着していたのです。
 唖然とする僕に息子はさらに怒りをぶつけます。
 「パパ、昨日も『分離』したでしょ?」
 「へ?」
 「そのせいで、フジは今朝学校に行くのが遅れたんだからね!」
 
 中学二年生の発言とは思えません。
 うまく言えないけど、そうですね、道徳観というか、価値観というか、ううん、とにかく『なにかがずれている』ような感じがして、親としてはいろいろと、不安です。
 こいつの頭の中はどうなっているんだろう。
 さらに、そういえば、と僕は思いつきました。

 「おい、洗濯するとき、フジの下着の数が少ないように思ったんだけど、まさか一週間変えていない、なんてことは無いだろうな?」
 「ううん。」
 うむ、よろしい、『衛生観念』は人並みなんだな。
 「一週間じゃなくて、三週間くらい。」
 「!!」
 
 男所帯の悩みは深いです。

 それとついでながら、『男所帯ならではの父子の濃密な時間』を過ごす中で発覚した『フジの好きなお笑い芸人はね』、
 「サンドウイッチマンと、アンジャッシュと、マツコ・デラックスと、具志堅用高。」
 なんだそうです。
なんか・・・、ずれてませんかね?
 ===終わり===

 
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男所帯。

 これは、ひょっとしたら、根本的に大きな見当違いをしていたのかもしれない、と僕は思いました。

 ちょっと訳があって、さい君が急遽その南半球の土地に里帰りしたので(すわっ、今度こそ激しい家庭争議の果ての『実家に帰らせていただきます』だな、と思う向きがあるかもしれませんが、違います。今回もちょっとしたことからです。)、我が家は、暫時僕と息子の男所帯になっています。
 いざ、妻、或いは母が家庭にいなくなると(それも急に)、普段この男たち二人が如何に彼女に頼っているのか、を痛感させられます。なるほど、さい君がよく、
 「わたしは、あなたたちの女中さんじゃあ、ないんだからね!」
 と言っているのも、さもありなんといったところです。
 
 一昨日もこんなことがありました。

 「フジ、ただいまあ!」
 「んんむ、パパおかえり。」
 会社から帰宅すると、先に下校してソファでポテトチップスを食べつつテレビのアニメを見ながら父親を一瞥もせずに、淡々と、しかし、即返礼してくれた息子を確認し、僕は早速風呂場に向かいました。
 「うん??」
 服を脱ぎ捨てて風呂場に降り立った中年男子を、ある強烈な違和感が迎えます。
 「臭っ!」
 なんだ、ここに充満している異臭は??
 と、床のタイルに、息子の-しかも、よりによって黒い生地の-パンツが脱ぎ捨ててあります。
 「!!」
 そして、その下着ほぼ全面に、黒い生地に見事に映えた、黄色い下痢便がべっとりついているじゃありませんか!
 なるほど臭いわけです。
 「おい!フジ!!」
 僕は、風呂場の扉をあけると、リビングにいる中学二年男子生徒に、この暴挙の経緯と真意を糾そうと、彼を呼びつけます。しかし、聞こえてか、聞こえずか、なんの応答もありません。
 「おい、ちょっと!!フジ、こら!」 
 ・・・・無反応です。
 さい君はいないし、ということは・・・・俺にこれを洗えっていうのかよ。
 父親は全裸でリビングに行くわけにもいかず、といってこの事態に-下痢便と一緒に入浴するという光景にも、その悪臭にも-堪えられずに、義務感からではなく、危機管理の側面から、その大量の男子中学生の汚物を洗い流し、よくすすいでから絞り、風呂場に干しました。

 「おい、なんだ、あのパンツは?」
 風呂からあがると、僕は早速詰問します。
 「へ?」
 「へ、じゃない。すごい量じゃないか、学校でしちゃったのか?」
 「もう、うるさいなあ」
 うるさい???
 「あのね、学校で牛乳を飲みすぎて、うんちしたくなって急いで帰ってきたんだけど、家のトイレの前で、出ちゃったの!わかった?」
 平然と、-まるで、そうですね、明日の天気を聞かれたかのように-、かつ面倒臭げに言い放ちます。

 これは、ひょっとしたら、根本的に大きな見当違いをしていたのかもしれない、と僕は思いました。

 つまり、この男は存外『たいへんな大物』なのではないか、ということです。
 これといって取り柄もなく、いつもポテトチップスを頬張りながらアニメを見て爆笑している我が子を見て、彼の将来を思い暗澹たる気持ちになっていましたが、はて見当違いであったか??と思ったわけです。
 だって、なんなんとするところ中学二年生にもなって、下着に着けた大量の下痢便に平然としてられますかね。恥ずかしいし、親にも怒られそうです。だから、僕なら大いに動揺して、そもそも親が留守なのをいいことに、自分で下着を洗い、証拠隠滅を図ります。それをこの子は、汚物にまみれたままの下着を風呂場に豪快に放擲し、そのうえ、ルーティンワークを、-ポテトチップスのり塩味を食べながらのアニメ視聴といういつも作業をー、粛々とこなし、帰宅した父親にも何も報告せず、普通に応対したわけです。
 存外、器の大きな男なのかも・・・・。

 んん?でもちょっと待てよ。

 僕は、この事件の経緯と同じくらいに最前から気になっていた、ある疑問を彼に投げかけました。
 「それで、あれは『パパ洗っといて』って意味なのか?」
 僕が様々な圧力に屈して洗ってしまったことは、まだ彼には、自供していません。
 「違うよ。あとで自分で洗おうと思ったんだよ!」
 そうか。でも、そういうことはポテトチップスのり塩味を食べる前にしたほうがいいんじゃないか?と思い、黙りこむ父親に、彼は追い打ちをかけました。
 すなわち、テレビを見ながらこう続けたのです。

 「まあ、パパが洗ってくれても別にいいんだけどね。」
 『洗ってくれても別にいい』?????

 ますます大物感漂う発言です。
 
 なお、くだんのパンツは、そのあと、再度洗濯機で洗われ干されているところであります。
 もちろん、洗濯機を回すのも、干すのも、僕がやりました。
 男所帯もなかなかたいへんです。

===終わり===



 
 
 
プロフィール

緑 慧太

Author:緑 慧太
好きな言葉:『終身雇用』
座右の銘 :『負けるが勝ち』

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